* パロディ *
□ガンスリぎんひつパロディ @
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『The sky of the admonition 〜戒めの空〜』
ここから空を眺めるのが好きだ。
雲ひとつない青空も。
雨を落とす曇天も。
星が煌く寒空も。
『ここでしか生きられない』
その現実を教えてくれるこの場所から見る空が。
☆ ☆ ☆
ナイフは身体中のいたる所に。SIGは腰の後ろに。ガリルはサッカーバッグの中に隠す。
女達はライフルを楽器ケースに入れて運ぶけど、パーカーに短パンの俺にそれは似合わない。
同じ事を考えたのか、初仕事の前に担当官が用意してくれたのが、ミランのロゴの入ったショルダーバッグだった。
中には仕切がついていて、分解したライフルをしまえるようになっている優れもの…らしい。
これを背負わせて喜んでいた男の顔を思い出し、俺は少し苛つきながらジッパーを開けた。
中から分解されたガリルを取り出すと、手早く組み立ててとある窓に狙いを定める。
正確には、その内側の病室で眠る男に向かって、一ミリのズレもなく。
「バン!」
跳び出す弾丸は瞬きすら許さぬ速度で窓を突き破り、俺と同じ銀色の髪が彩る額を冷酷に射抜く…に、違いない。
装填さえしていれば。
二秒後にスコープから顔を上げて、俺は空を仰いだ。
ぼんやりとした雲がゆっくりと流れて、隣の塔から鳥が飛び立つ。
春の息吹が聞こえてきそうな陽光に、手の中の銃が黒く光った。
かちゃりと手にしたライフルを下げて、俺はまたそれをバッグにしまう。
これは、病室の男がくれた、大切なもの。
SIGも、ナイフも、バッグも、服も。
この命だって、何ひとつ惜しむものなどないというのに。
「…ばーか」
ひとり満足気に眠る男に向けて、俺は呟いた。
ここから空を眺めると、俺の過ちを突きつけられてる気がするんだ。
アイツが守ろうとするものは、作りモノの俺の命。
その為に自分を危険に晒して、一体なんの意味があるのだろう。
俺達など、取替えのきくこの銃みたいなものなのに。
そんなことすら解らないアイツは、本物の馬鹿。
でもそれに悦びを感じてしまう俺もまた、
どうしようもない馬鹿なんだ。
仲間の眠る大聖堂のてっぺんで、俺は今日も空を眺める。
→アトガキ
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