* 短編小説 *
□ * 帰る場所 〜誓い *
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「行って来る」
三番隊の執務室で、座ることすらせずキミは言う。
背中に愛刀を携えて、いつも通りの毅然とした姿。
信用してへんとか侮っとるとかやないけど。
これがボク等の別れかもしれへん。
そう考えてしまうボクは、キミに出会って弱くなったんやろね。
「うん。気ぃ付けてな」
キミなら大丈夫。でも、絶対なんて有り得へんよ。
せやけどボクはにっこり笑った。
心配そな顔されたないやろ。
執務用の椅子に座ったままのボクと目線を絡めたまま、キミはほんの少し眉根を寄せた。
そして、はぁ。と、溜息一つついて、おもむろにボクに近づいてくる。
執務机を回りこんでボクの隣に立つと、唇を真一文字に引き結んで、じぃっと見つめた。
どないしたん?そう聞こうとした時。
ボクの胸倉を掴んで、自分の方に引き寄せると、唇をぐいっと押し付けた。
「!」
びっくりしたボクが目を閉じる間もなく、同じ勢いでキミがボクを押し戻す。
時間にして3秒ぐらい。甘くもなんともない口付け。
「護廷の儀式ん中に、あるだろ?鉄の志〜とかいうヤツ」
そして甘くもなんともない言葉。
何が言いたいんやろ・・・この子
訳が解らず取り合えず頷けば、キミは至って真面目に続けよった。
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