* 短編小説 *

□ * 帰る場所 〜誓い *
1ページ/4ページ


今日からあの子が討伐に向かう。



隊長のボクらにしたら、何や大した事あらへん任務。

わざわざ出向くようなもんやない。

でもたまには同行して直に指揮を執らないと、などと真面目なことを言うキミ。

せやね。なんて言いつつ、内心穏やかではいられへんボク。



護廷十三隊は一隊毎にほぼ独立しとるから、どうまとめようと隊長さんの自由。

賢いキミは、自分が舐められやすい外見であることをよぉ解っとる。

そやさかい、最初に実力を示しておかなアカンゆぅキミの気持ちは解る。

それは間違ってないと思うし、キミのやり方に口を挟む気はあらへんよ。



せやけどキミは、無茶ばかりしよる。



部下を庇ったらあかん言うてるわけやない。

自分の身も大事にして欲しいだけなんや。



もちろん絶対大丈夫やて信じとるけど、キミが出掛ける度に、やっぱり不安になるんよ。

キミがボクの部下やったら、それか合同任務やったら幾らか安心出来る。

ボクの目の届くところにおってくれれば、何かあっても護れるやろ。



でも、キミは護られることを嫌がる。

ボクが護りたいなんて言うたら、眉間を寄せて「余計なお世話」なんて言うやろね。


うん。キミは一隊を預かる隊長さんやもんな。

護られるんやなくて、護りたいんやもんな。

雛森ちゃんとか、尺魂界とか、ぜーんぶ。




でも、解ってはる?

ボクらは遊びで行くんとちゃう。

常に、命を懸けとるんや。


次に穿界門を通る時は、死んどるかもしれへん。

通ることすら適わんかもしれへんやろ。




キミは強い。経験不足を思慮深さで補う術も持っとる。

部下を護りつつ経験を積ませる方法も心得とる。



でも、時折傷を作ってくるキミを待つ、ボクの気持ちはよぉ解らへんのやろね。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ