* 短編小説 *
□ * 帰る場所 〜誓い *
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今日からあの子が討伐に向かう。
隊長のボクらにしたら、何や大した事あらへん任務。
わざわざ出向くようなもんやない。
でもたまには同行して直に指揮を執らないと、などと真面目なことを言うキミ。
せやね。なんて言いつつ、内心穏やかではいられへんボク。
護廷十三隊は一隊毎にほぼ独立しとるから、どうまとめようと隊長さんの自由。
賢いキミは、自分が舐められやすい外見であることをよぉ解っとる。
そやさかい、最初に実力を示しておかなアカンゆぅキミの気持ちは解る。
それは間違ってないと思うし、キミのやり方に口を挟む気はあらへんよ。
せやけどキミは、無茶ばかりしよる。
部下を庇ったらあかん言うてるわけやない。
自分の身も大事にして欲しいだけなんや。
もちろん絶対大丈夫やて信じとるけど、キミが出掛ける度に、やっぱり不安になるんよ。
キミがボクの部下やったら、それか合同任務やったら幾らか安心出来る。
ボクの目の届くところにおってくれれば、何かあっても護れるやろ。
でも、キミは護られることを嫌がる。
ボクが護りたいなんて言うたら、眉間を寄せて「余計なお世話」なんて言うやろね。
うん。キミは一隊を預かる隊長さんやもんな。
護られるんやなくて、護りたいんやもんな。
雛森ちゃんとか、尺魂界とか、ぜーんぶ。
でも、解ってはる?
ボクらは遊びで行くんとちゃう。
常に、命を懸けとるんや。
次に穿界門を通る時は、死んどるかもしれへん。
通ることすら適わんかもしれへんやろ。
キミは強い。経験不足を思慮深さで補う術も持っとる。
部下を護りつつ経験を積ませる方法も心得とる。
でも、時折傷を作ってくるキミを待つ、ボクの気持ちはよぉ解らへんのやろね。
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