* 短編小説 *
□ * 質問させて貰っていいですか? W *
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【 月刊瀞霊廷通信 特別付録 】
日番谷冬獅郎特集!!
≪特別企画! 〜 皆知りたい!日番谷隊長のプライベート 〜≫
皆様お待たせ致しました!
日番谷隊長特集に合わせて、今まで寄せられた投書の内から、いくつか抜粋して質問してみたぜ!
どっきどきの回答ばかり!本誌記者もびっくりだ!
ん?前振りはいらないって?
よし、じゃぁ早速いってみよう!!
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Q01:朝起きてまず始めにする事は何ですか?
隊長:始めにすること…。
……………蹴り、かな…。
記者:蹴りですか!?朝から何やってんすか?
隊長:べ、別にいいだろっっ!!
熟考していたのが気になりますが、さすが隊長!起きた瞬間から鍛錬が始まるようだ。みんな見習おうぜ!!
Q02:三食きちんと食事を摂りますか?
隊長:当たり前だろ。食えるときに食う。基本だ。
現世滞在中に小学生と間違われて以来、食事を抜いて仕事をすることがなくなって良かった、と松本副隊長も仰っていましたよ。
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「アレ…。副編集長、どこいきました?最後の…問10の回答のところで止まってるんですけど…」
「副編集長ならさっきまで市丸隊長が来てて…。あ!蒼い顔して胃が痛いって言ってたから、四番隊に行ったのか…、いつものトコかも」
「え〜〜!……困ったなぁ……。他はもう校了してるんだけど…」
ここは九番隊隊舎、編集室。
既に定時を回っているというのに、書類を片手に忙しく走り回っている隊士が多いのには、理由がある。
瀞霊廷を守るという任務の他に、瀞霊廷通信の編集作業も担っている九番隊では、その作業の為に月に一度、修羅場がやってくる。
執筆者はほぼ護廷の副隊長以上。多忙さに原稿が遅れることもしばしばで、結果多く見積もってあるはずの編集作業が切り詰められるからだ。
毎回徹夜騒ぎで出版しているのだが、今回は全て期日前に回収出来た為、余裕ある出版になるはずだったのだが…。
唯一、日番谷隊長の特集記事だけが上がらないのだ。それも、副編集長が妙に力を入れていた、最後のインタビューだけが。
困り果てた編集Aの、「問10だけ削っちゃう?」という帰りたいが故の提案に、呑みに行きたい編集Bが頷きかけたとき―――。
「どうした?」
タイミングよく、東仙が現れた。
「隊長!」
「ここでは編集長と呼びなさい。…何かあったのかい?」
「す、すみません!…実はですね――」
呼び方をやんわりと指摘し、先を促す編集長に、編集ABが事の次第を掻い摘んで説明した。
「副編集長が原稿も書かずに逃げました」
「なのでもう適当にやっちゃおうかと」
掻い摘む、と言うよりほぼ主観の説明に、苦笑を漏らす編集長。それでは正義の心に反すると、Aの手にする原稿に目を落とした。
そして檜佐木の書き掛け部分を尋ね、その内容ならば…と、小さく頷く。
「仕様のないやつだ…。では続きを私が書こう。貸しなさい」
「いえ、でもお手を煩わせるわけには…」
「構わないよ」
そう穏やかに微笑んで、片手を差し出す。
「では…お願いします」
恐る恐るその手に渡し、二人は今や編集長室となった執務室に入っていく東仙を見守った。
自分達が何らかの手を加えてしまうと後々面倒そうだが、それが編集長の手によるものならば安心だ。
ほっと息をつき、その完成を待つ間茶でも淹れようか、と給湯室で湯を沸かす。
「そう言えば…」
急須を用意していたAが、湯呑みを探すBを振り向いた。
「編集長、内容知ってんの?」
「…………………あ」
『これは誰にも言えないぜっ!』と興奮した檜佐木に、インタビュー内容すら教えられていなかった二人は、顔を見合わせ編集長室をちらりと見て、そっと目を逸らした…。
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