* 頂きもの 小説 *

□* 夢ってあれ自分の願望があらわれるって言うけど本当? *
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おかしい。


おかしくないか?この状況。

何故自分の頭に市丸隊長の御足が………?






三番隊執務室。市丸隊長の判を頂かなければ提出できない書類を持ち、立ち尽くしている自分。今日、吉良副隊長は非番だ。
目の前ではソファに座った市丸隊長が、ものすごい早さでメールを打っていらっしゃる。
にやけた顔からして、あの可愛らしいツンツン逆毛の隊長に恋文を作っていることが容易に予想できる。

美しい隊長。珍しく幸せそうなお顔をずっと眺めていたい…。そんな衝動にかられる。

しかしこちらにも時間がない。

「隊長。こちらの書類に判を頂きたいのですが…」

すると市丸隊長はにやけた顔を普段の狐顔に戻した。あぁ…美しいなぁ…。

そしていつもの意地悪な笑顔で一言。

「キミがしたらええんやない?」


「…え?」

できるわけないだろ。自分は平隊員だぞ?
心の中でそうツッコミを入れた。
すると隊長は、くぁ…と欠伸をして。

「あのな……ボクは出張から帰ったばっかで疲れてんねん。
はぁ〜あ。イヅルがおったら、その辺理解して、うまい事片してくれるんやけどなぁ〜?」

「す…すみません…。」

謝るのなんかおかしくないか?しかも出張から帰ってすぐ十番隊に行ってなかったか?
でも市丸隊長には逆らえないし…



ひらり



「あ」

緊張のせいで手の力が弛緩したのか、書類が落ちてしまった。


市丸隊長の足元に。


「すっ…すみません!」

「あららぁ〜…大事な書類落としたらあかんやろ。ほら、はよ拾い?」


隊長の足元に落ちた書類を拾おうとして床に手足をつく。丁度土下座の様な恰好だ。

すると

「あかんなぁ…何の断りもなく上司の足元に近付くやなんて。」

ぐり。

ぐりぐりぐりぐりぐりぐり。


……言いながら僕の頭を踏みつける市丸隊長。もとい、市丸女王様。


「す…みません…市丸隊長…」

「ん〜?市丸隊長?ちゃうやろ。市丸隊長様やろ。市丸隊長サ・マ。」


「……ッ!何の断りもなく近付いてしまい申し訳ありませんでした市丸隊長様!!!」


「ん。次からは気ぃ付けや。」

「…はい…。」


それから5分程。メールを打ち終えた市丸隊長が懐から隊長印を取り出し、細くて白い美しい指で、書類に判を押すまで。踏まれ続けた。





オワリ


→ アトガキ


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