novel

□瞳の魔力(リョ海)
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貴方の瞳は,俺の視線を捕らえては離さない。

釘付けにして,逸らすことさえも許さない。

俺を虜にする。

もう,一生貴方からは逃れられない。



瞳の魔力



4時間目の終わりを告げる鐘が鳴る。

それと同時に俺の腹の音も鳴く。

・・・購買部に行ってパンでも買お。

いつもなら食堂で定食でも頼むところだが,今日は有り金が乏しい。

こんな事ならグリップの換え,来月まで待つんだった。

今更後悔しても遅い。

頼みの綱の母親作の弁当も,今日は母親が(も)寝坊した為当てが外れた。

ゴソゴソとポケットを漁ると出てきたのは小銭,193円。

これでパン何個買えるかな。

微かな希望に望みを託して購買へと向かう。





* * * * *





着いてみるとその混み入り具合に驚く。

うっわ・・・何この人数,信じらんない。

まさに『芋洗い』状態だ。

その人混みの中には微かに見慣れた顔達が居た。

あっ・・・桃先輩。

「うぉ〜っ!焼きそばパンは俺の物だぁっ!!」

よくあそこまでやれるなぁ。

まっ,いいや。

サッと一番人の少ない所に入り込みズカズカと人を除けてカウンターへと辿り着く。

えっと一番安いのは・・・。

“ジャムパン” “あんパン”

ウゲッ,菓子パンばっか。

100円のは・・・。

“メロンパン” “クリームパン” “カレーパン”

何これ,まともなのってカレーパンぐらいしか無いじゃん。

あとのは120円とかだし・・・。

・・・・・。

「ハァ・・・,おばさん。カレーパンとあんパン」

空腹に比べればマシだよな。

「・・・屋上行こ」

その方が多少は気が紛れるし。

重い気持ちを引きずりながら屋上へと足を運ぶ。

「・・・ハァ・・・」





* * * * *





屋上への戸を開けると,暖かな風が吹き抜けて来て気持ちが良い。

屋上は正解だったかも。

天気も良いし,これでファンタでも有れば気が紛れるってのに。

しかし,目の前に有るのは甘ったるい菓子パンばかり。

ウゲッ,これを昼飯がわりにする人って頭おかしいんじゃないの?

ふとした疑問が沸く。

まっ・・・しょうが無いか。

バリッとあんパンの袋を開ける。

鼻を突くあんこの香り。

・・・っ甘。

匂いだけで一杯だ。

明日は意地でも母さんに作らせないとな・・・。

軽く決意を固める。

すると,急に後ろから戸の開く音が。
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