●花薊物語●
□花薊物語 番外編
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僕は、パディ先生の意味深な言葉が気になった。
が、次のコマは僕の教科じゃないか!と思い至って、渋々席を立った。
その授業が終わるころには、僕はパンパさんのことを忘れていた。
数日後、僕はまた、例の時計台まで行ってみた。
この前と同じ時間。
―――パンパさんは、そこに居た。
「パンパさ・・・」
僕はパンパさんを呼ぼうとした声を喉でつっかけた。
パンパさんは、目を閉じ、両手を合わせて、立っていた。
まるで、黙祷でも行っているように。
いや、まるでというか、黙祷なのだろうが。
僕はパンパさんを黙って見ていた。
声をかけるタイミングを逃してしまったのだ。
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