●花薊物語●
□花薊物語 セミ編
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「おかんー!ちょっと塾行ってくるわー。」
靴を履きつつ、母親に叫んだ。
「迷惑かからんように帰ってきいやー!」
普段もよくあることなので、セミの母親は玄関も見ずに言った。
うんーと言いながら、ドアノブを回した。
お気に入りの緑の自転車に跨る。
そしてセミは自宅を後にした。
数分後
セミは塾の前についた。
自転車にキーをかけて塾の扉を開く。
そして、自習室に迷わず向かった。
いつも騒がしい塾内は、いつもよりシーンとしている。
軽く不審に思ったセミだったが、授業中だと自分に言い聞かせ、自習室に足を進める。
ガチャリ−・・・
自習室にも誰もいなかった。
普段通りのポスターがセミを見つめる。
何で誰もいないんだろう???
授業のない生徒は基本的に自習室にいるものである。
なのに誰も自習室にいなかった。
セミは首を傾げたが、それで理由が出てくるわけでもなく、とりあえずカチューンにメールをすることにした。
すると、程なくして返信が帰ってくる。
『題名:外に誰かいる?』
−END−
「外?」
セミは廊下に出た。
勿論誰も居らず、シーンとしている。
セミが、誰も居ないと返信しようとしたとき、セミの視線の隅で、キラリと何かが光った。
ん?なんだろう?
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