●花薊物語●

□花薊物語 番外編2
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カオス先生はにこりと微笑んだ。


それにつられて笑みが零れる。

あ、こっちはにやにやか?



「つらい過去をお持ちなんですねえ・・・。」

思い出話をするように話を振った。


「いえいえ。病気のときはそれはそれで楽しかったですよ?自分が何人もいて・・・」


自分が何人もいて!?

はい?



カオス先生の病気って・・・。


「解離性同一性障害だったんです。私。」


解離性同一性障害・・・。


ってあれ?所謂多重人格?




「その病気の患者さんはじめてあいました・・・!」


その時は、若干興奮気味だった。

よく小説とか、漫画とかで使われる多重人格って本当にいたんだって。



「そんな格好いいものじゃないですよ。」


カオス先生は、窘めるように言った。


「今でも謎の多い障害ですから・・・。患者さんは結構苦労しますし。」



「そ、そうなんですか!」


「でも私は楽しかったんです。塾長ともその時知り合って・・・っと、昔話が過ぎましたか。」


塾長?
あの?
塾長?


「他の方が段々飲みつぶれてきたんで介抱してきますね。」


そう微笑んでカオス先生は立ち上がる。


「えちょ、」


手を伸ばしたが、そのままおろした。

触れて欲しくない過去なのだろう。


「よっし飲むぞ!」


やけ酒、とはちょっと違うけど。

その後、一升半開けて、帰った。



次の日は、二日酔いだった。



・・・塾、あるのに。

その日、カオス先生は何事もなかったかのように仕事をしていた。


つくづく、不思議な人だと実感した日だった。




end
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