●花薊物語●
□花薊物語 番外編2
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「え?私ですか?
えーっと・・・勉強はそこそこ出来たんですがね・・・ええ。」
何故か曖昧な言葉で濁すカオス先生。
疑問に思いながらもあえて触れずに、私はまたお酒をコップに注いだ。
「でも、パディ先生のことは知っていましたよ。」
・・・?
確か同じ大学は出ていないはず。
じゃあ何で?
「覚えていませんか?私、パディ先生と同じ小学校だったんですよ?」
・・・うっそん。
・・・え、ちょ、マジで?
「ほ、本当ですか」
「ええ。まあその頃から名字が変わったものですからわからないでしょうが。」
こんな生徒、いただろうか?
物覚えは軽く自信があるのだが、カオス先生みたいな子がいたなんて記憶は私の海馬には残っていなかった。
「えっと、すいません。覚えてないです。」
やっぱり知らない。
そんなに大きな学校でもないのに。
「何故でしょうね?私、暗記力には自信があるのですが。」
困ったように笑ってみた。
すると、困ったように笑い返された。
「私、重い病気を煩っていまして、ほとんど学校に行っていなかったんです。だからでしょうかね・・・」
そうか、だからあんな曖昧な答え方・・・
「そうですか。それは失礼しました。」