●花薊物語●

□花薊物語 カオス編
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パディは、自分の教室に戻る途中、とある人物のところに向かっていた。

トントン

扉をノックすると、中からどうぞーという声が聞こえた。

パディが部屋の中に入る。

大きなソファーに腰を落ち着かせ、足を組んで優雅に紅茶を啜っている人物が目に入る。



特別講師、カオス先生だ。



特別講師、とは普段授業を行わずに特別な状況のときだけ姿を現す講師である。

特別講師は普段は塾に来なくてもいいのだが、カオス先生は常に此の部屋に居る。

此の塾の七不思議の一つであった。


恐らく七つも不思議はないのだろうけど・・・


来ると思った!


カオス先生は内心クスクスと笑っていた。

パディが来るのを予め予想していたようだ。


「で、どしたの?パディ先生?」

余裕の面持ちでパディに問いかける。

「今外がどうなってるか知ってるー??」

パディはニヤニヤしながら問いを返した。


「ええ、知ってるわ。ダリ絵の世界に入り込んだのよね?」

「だったら話ははやいのだよー!!」

クスクス笑うカオス先生と、ニヤニヤ笑うパディ先生。


しかし、部屋の空気は冷たかった。

「塾長にこの事件をやめるように言って、てこと?」

カオス先生がまたパディに問うた。


「まぁそんなところなのだよ。」

冷静に答えるパディ。

「・・・それはできないわ。」


カオス先生は少しの沈黙の後、断りの言葉を入れた。

「何でなのだよ?此処にずっと居なければならないのは先生だって嫌なんじゃないの?」

意外にも断られてパディは眉をひそめた。



「だって、時間は進むものだもの。絶対に終わりが来るものを無理矢理終わらせるなんて無粋なことはしたくないの。

それに、塾長が私の話を聞き入れるとも思えないもの。」



カオス先生は微笑しながら窓の外を見た。






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