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□忠犬
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忠犬




授業終了のチャイムが鳴り、部活に行く者や下校する者で皆席を離れだした。



「ツーナっ!」



山本が満面の笑みを浮かべながら綱吉の席へと向かってくる。



「ん?なに?山本。」


「なんかなー今日の補習、やっぱ来週やるらしいぜ。残念だよなー。」


「え!?本当?やったぁ!山本なんで残念なの?」



うなだれる山本に綱吉が問い掛けると山本はにっこりと笑いながら、



「せっかくツナと二人っきりになれるチャンスだったからさ。」


「どーいう意…「きめぇこと言ってんじゃねーよ野球馬鹿がっ!!」



綱吉が問う前にどこからともなく獄寺が現れ、山本に噛み付く様に言う。



「ははっ忍者みてーだな!!獄寺は!!」


「あぁ!!??テメェはとっとと部活行けっ!!十代目!!こんなアホ放っといて帰りましょう!!」


「えーツナ帰っちゃうの?じゃぁバイバイのチューしよーぜ?」


「!?テメェ果てろッッ!!」


獄寺がダイナマイトを取り出した瞬間綱吉は急いで獄寺の腕を掴み、



「獄寺君!!ここ教室だよ!!ほらっ帰ろう!!山本、部活頑張ってね!!」



でもっ…と言う獄寺を引っ張る様にして山本から遠ざけ、山本に別れを告げるとそそくさと教室から出ていった。





「もう!!学校でダイナマイト出しちゃダメって言ったのに!!」



学校を出て帰り道を歩きながら、綱吉が頬を膨らませて獄寺に抗議すると、獄寺はシュンとなりながら言った。



「俺はあんな野球馬鹿に十代目の貞操を奪われたくないんスよ!!」


「…貞操って…獄寺君、あれは山本冗談で言ったんだよ?」



決して冗談ではない。山本は本気だ。それをわかっている獄寺は引き下がらず、


「あの馬鹿は常にやらしい視線を十代目に送ってます!!俺にはわかるんス!!」


「んなッッ…何馬鹿な事言ってんの!?男をそんな目で見る訳無いでしょ!!」



真っ赤になって全否定する綱吉を可愛いと思う反面、獄寺は至極心配した。

綱吉を恋愛感情有りで見ている自分からすればよくわかる。
自分と同じ様に綱吉を見ている人間が。

初めはそんな人間から綱吉を守るつもりでいた。
自分の気持ちを押し殺して。

けれどそれが一緒にいればいる程無理だという事に気付いた。

自分が手を出してしまいそうだ、と。理性を止めるのに必死だ、と。



「…十代目。俺ん家この辺なんスけど寄ってきます?宿題教えますよ。」



急に先程の会話と全然違う事を言いだした獄寺に綱吉は少し戸惑ったが、宿題をみてくれるというので笑顔で返した。



「いいよ、行こう。」




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