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□想い
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マジな話俺はモテる。
今まで何人に告られたかわかんねぇ。
女子には飢えてないはずなのに……
最近の俺はちょっと…いや大分変だ。
想い
「どーしたの??山本。」
いつもの様に補習仲間のツナと放課後居残って課題をやっていた。
課題もやらず上の空だった俺にツナは心配して問い掛けてきた。
ツナは良い奴だ。他人をいつも思いやれて。
しかも自覚は無しに。
自慢の親友だ。
親友だ。
親友?
「いんや?全っ然わかんねーからさ、コレ。」
「本当にね…これじゃ帰れないよー。」
ツナは目線をプリントに向けてため息をついた。
『帰れない』→『ツナと一晩一緒』
……………………………。
やっぱり俺は変だ、おかしい。
男相手にこんな方程式たててる事自体。
「ねぇ、山本。問6わかる?山本?」
「あ、悪ィ悪ィ!!問6…さっぱりだな!!」
ツナが聞いてきた問6はずらずらと訳の解らない数字が並んでいる。
馬鹿な俺に答えが出せる筈が無い。
何気にツナのプリントを覗くと問7はやってある。
「…なぁツナ。なんで問7はできてんだ?」
俺が問7を指差して聞いてみると、ツナは少し嬉しそうに言ってきた。
「へへへぇ〜この式の解き方はこの間の日曜日に獄寺君に教えてもらったばっかりなんだ!!!!」
……………………………。
『獄寺君に』→『俺はいなかった』→『二人で会ってた』→『●★◎◇×!?』
「山本部活で日曜日俺ん家これなかったもんね。教えよっか?」
「…ツナ、獄寺と二人で遊んだんだ?」
なんだか妙に胸がザワつく…いやイラつく??
「遊んだってゆーか…獄寺君が家来てくれたんだー…って山本怒ってる?」
「別に。」
やっべぇ。笑顔が作れねぇ。マジで余裕がねぇ!!
「わり、ツナ。俺帰るわ。プリント家でやってくる。」
それだけ言うとあまりツナの顔を見ないようにしてそそくさと教室を出た。
ツナは突然の事だったから何も言ってこなかった。
ただ俺を見てた。
教室のドアを閉める時、一瞬ツナの泣きそうな顔が見えた。
―――最低だな俺は。
あんな顔させたい訳じゃないのに。
ツナはきっと泣くかな…
弱いから。いつも口ばっかな奴等に嫌な仕事押し付けられては泣きそうな顔しながらやってた。
『守りたい』って思ったよ。
でも今は……
もっと違う存在になってきてる。
俺はそのまま下駄箱で靴を乱暴に履き外へ出た。
外から教室の窓をみた。
俺等のクラスの電気はまだついている。
「……あ〜あ、問6や7の答えよりこのイラつきの意味教えてもらいてぇよ。」
誰もいない場所で独り言を吐き、急いで教室まで戻った。
格好わりぃな俺は。
きっとこの気持ちの意味だって解ってんのに。
拒絶されんの恐くて逃げてる。
すんげー根性無し。
ごめんなツナ。
冷たくして。
泣くなよツナ。
守るから。
大好きだ。
誰よりも。
END
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