月が満ちる時に・・・
□序章
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月が荒野の遺跡を照らす
遺跡には男が1人
仮面にローブを来た不気味な男
男が月に両手をかざすように手を上げる。
途端に男を白銀の光が円形の模様を描く。
「・・・今度こそは大丈夫そうだな」
男が嬉しそうに言い
手を下ろした。
白銀の光が次第に強くなっていく。
すると遺跡に向かって1頭の獣が走ってくる。
ライオンほどの大きさで
黒毛の狼
目は紅く光っている。
狼は男を発見すると
白銀の光のの前で立ち止まった。
「主!主よ!どこへ行かれる!?ここは」
狼はそう叫びながら吠える。
この狼は仮面の男に服従しているようだ。
「分かっている・・・だが、公的なゲートなどたかが知れている。あっちの世界、日本国に行くにはこれを使うしかあるまい」
男は静かに言った。
「日本に・・・行かれるのですね」
「悪いか」
「いえ。私も共に行きましょう」
「・・・ふん」
狼の体は途端に縮み
子犬の姿になる。
子犬姿の狼は男を囲む光のなかに飛び込んだ。
『我を導くものよ・・・我が行く道を照らしだせ!!』
男が言い終わると光が男と狼を取り囲む。
光は次第に消えていく。
光の中には既に彼らは居なかった。