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□▼さよなら
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不安や恐怖を感じると、烙印の進行が進むと聞きました。
皆と、お互いの烙印のチェックをする事は余りありません。
皆、前向きに頑張ろうと決めたから。
眠るスノウの烙印をチェックするのが、僕の密かな日課です。
いろいろな事を乗り越えたスノウの烙印は、徐々に進行するものの、安定している様に思えます。
いつからか、僕とスノウの烙印に差が生じる様になりました。
その差は、どんどん大きくなっている様に思います。
どうしてこんな事になっているのか、僕にも解りません。
烙印を切り刻めば、少しは進行も止まるんじゃないかと思い、ナイフで切り刻んで見ました。
血が沢山溢れて、一瞬、烙印の目の様な部分が開眼したんじゃないかと思いました。
恐怖を感じました。
それと同時に、安堵しました。
結局傷が癒えても烙印はそこにありました。
スノウとの差はますます大きくなっていきます。
スノウの寝顔を見ながら、ふと気づきました。
ここで終わらせてしまった方が良いという事。
醜い姿も見られなくて済むし、
辛い思いもさせなくて済むし、
皆幸せになれるし、
スノウも幸せになれるし。
最後に、眠るスノウにさよならのキスをしました。
その時が、僕は一番幸せでした。
fin.