戦慄のナイト
□第一話 リード・リ・アルトリア
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そしてこの日、4月2日AM5:36
アレインは念願の子供を授かるのだが・・・
「何故だ!どうして男ではない!!女では家を継がせる事ができないではないか!!」
この日生まれたのはアレインが望んでいた男ではなく、女だったのだ。
「あなた・・・」
「ええい!同情なぞするな!!」
アレインはむかしながらの考え、男が上、女が下という考えの持ち主で、周りからの評判は悪い。
レティは見合いで無理やり一緒にいるといっても間違いではない。
「次に期待しましょうか・・・」
「私には時間がないのだ・・・そうか・・・子供なら拾ってくればいい・・・」
焦りというのはここまで人間を腐らせるのか。
「あなた!!」
レティが叫ぶ。
「生まれたばかりの自分の子供も抱かないで、そういうことを言うのはやめてください!!」
「うるさい!女の分際で!」
その瞬間部屋の中にアレインが頬をひっぱたく音が響いた。
「あ、あなた・・・」
「・・・あの路地裏に少年が居たな・・・帰るところが無いと・・・よし・・・」
「あなた!」
レティが引き止めるのもしらずにアレインは部屋を出て行った
翌日
「あなた・・・その子は・・・?」
アレインはレティの部屋に男の子を一人連れてきた。
年は10歳、ネルと名乗る少年はまるで人形のようなきれいな顔をしていた。
アレインの話によると、3年程前に親に捨てられた孤児だそうだ。
「今日からこの子はアルトリア家の長男だ。レティ、面倒を見てやれ。」
「ですが、この子は・・・」
レティはそういいながら昨日生まれたばかりの子供を抱きかかえる。
「女なぞいらん。どこぞの川にでも流してしまえ。」
アレインは残酷である前にもはや人間ではなかった。
赤子・・・ましてや、自分の子を川に流してしまえなどと・・・
レティは夫のその一言で夫を見限り、その一週間後、娘とともに家を出た。