【書庫】
□瞼を閉じても
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―たまに目の前がまっ暗になる。
別に『比喩』、とかじゃないよ。
本当に何も見えなくなるんだ。
はは、何でだろうね。
恐くないか、って?
……全然。
だって身体が覚えてるんだ。
敵の匂いを、
刀の振るい方を、
従うべき声を、
僕が行くべき先を。
絶対に忘れない、
どんな時だって。
手足を斬られても、病に冒されても、
僕はみんなと、新選組で居たい。
戦い続けたい。
あの人のそばに居たい。
役に、立ちたい。
だからね、真っ暗になることくらい、僕にとってはどうってことないんだ。
いつか、目の前が真っ赤に染まって倒れるとしても、
その時まで僕は
新選組一番組組長、沖田総司で居たい。
最近はいつもそう思ってる、
………瞼を閉じても…。