「千尋、何ニヤニヤしてるの?」

「あ、那岐」


那岐が静かな場所を探して天鳥船の中を歩いていると書庫で千尋を見つけた。
どうやら何かの書物を読んでいるらしい千尋がそれを読みながら笑っている。


「竹簡眺めながら一人で笑ってるなんて気持ち悪いよ」

「ちょ…、ひどいなぁ」

「何がそんなに面白いわけ?」


これ、と千尋が手に持っていた竹簡の表紙を見せる。


「…人之性区分……?」

「ある程度似た性格を持った人達のまとまりについて書かれているの。読んでたら血液型の事みたいだよ。この時代には血液検査はないけど何らかの違いで性格に特徴があるのは分かっていたみたいだね」

「へぇ…」


あまり興味がなさそうな那岐に対して千尋は興味津々だ。


「アルファベットがないからパターンに名前はつけられてないけど、これって多分B型についてだと思うの。那岐って確かB型だよね?」

「ああ」


その竹簡の、おそらく(千尋達が5年間暮らした世界で言うところの)B型のページを開いて、千尋は嬉しそうに読み上げた。


「集団行動の中で一人だけ散歩したりする」

「……」

「人の顔、名前をあまり覚えない」

「……」

「自分の部屋に他人を入れたくない」

「もういいから」


黙っていると延々と続けそうな千尋を遮り那岐が口を挟む。


「僕にどう反応しろって?」

「一応那岐に当て嵌まってそうな事象を選んだんだよ」


言われてみれば確かに当て嵌まる気がしない事もない。


「……」

「ほら、ね?それにしても血液型っておもしろいね。せっかくだから他の人のも考えてみようよ」

「…勝手にしてくれ」


女子が好きな血液型トーク。
どうやらそれは例外なく千尋にも当て嵌まるようだ。







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