過去拍手

□第二回
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今言葉にした事が正に行事の趣旨である事を千尋は何故気付かないのだろう。
バレンタインなんて行事がなくとも千尋は常に自分の気持ちを口に出している気がする。


「…はぁ……」


那岐は呆れたと言わんばかりに大きな溜め息をついた。


「…で?」

「で?、って……」

「あれってチョコレートを渡すもんだろ?
さすがにこの世界にそれはないんじゃない?」

「そうなんだよね……」

「いや、普通本人にそんな相談持ちかける?」

「違うよ。チョコレートがない以上それを渡す事はできないんだけど那岐に何かしてあげたいって気持ちはすごくあるの。
だからね、那岐は何か欲しいものある?
できるものならなるべく準備するよ」

「別にないよ」


予想通りの答えすぎる、とまたもや千尋は深く項垂れた。


「……そんなに何か僕にしたいわけ?」

「勿論!」

「そう。じゃあ僕が一つ案をあげるよ」


そう言った那岐の表情は明らかに何かを企んでいたのだが千尋はそれに気付いていない。


「何なに!?」





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