過去拍手

□第二回
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那岐×千尋




「バレンタイン?」

「そう!」


また妙な事を言い出した、と那岐の顔が訝しげに歪む。


「もともと僕達はこの世界の住人な訳だし外国の風習なんかにここで習う必要ってある?」

「う……、それはそうなんだけど……」


しゅんと千尋が項垂れる。


禍日神との戦いが終わって半年ほどが経とうとしていた。
那岐も王族であった事が判明したのだが王位は本当に千尋へと返してしまって自分は千尋の補佐に回っている。


やっと国も安定した今日この頃、異世界でのイベントをここで千尋が口にするなんて思ってもみなかった。


「だって5年も向こうで暮らしてたんだよ?
今更女の子の必須イベントなんて外せる訳ないじゃない!」

「そんなに大事な日?」

「当たり前でしょう?
今だからこそすごく大切なの!」

「なんで?」

「なんで、って……」


ここにきて急に千尋の勢いが削がれる。
目の前の人物は本気で言っているのだろうか。


「だって…バレンタインは大切な人に感謝と自分の気持ちを伝える日でしょう?
那岐は私にとって大切な人だもの」





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