紅一葉

□V:秘めたる想いと力
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『少しここでお待ちくださいね』


そう言って彼女は出て行った。
僕が何故彼女の家に来ようと思ったのかは、僕自身ですら分からない。





ただ、少し彼女は他の奴らとは違う、と思うのはあきらかだった。





―初めて彼女を見たのは、少し前にたまたま日本に来た時に彼女が一人で練習をしているのを見た時。





目を奪われた。きっとその言い方で、間違いないだろう。



まさにその言葉通り、数秒間だけ時が止まったような気がした。
それほどまでに彼女は綺麗だったのだ。




僕がそんな事を思うのは可笑しい事なのかもしれない。





今まで極力人と関わるのを避けていたのに。






人自体、あまり好きではなかったのに。







彼女とは何故だか関わりたいと、






彼女の事をもっと知りたいとさえ思った。






―この気持ちは何だろうか。
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