紅一葉
□U:異国の友
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「皆拙者の友人でござるよ」
そう言う雨月。
しかし雨月の友人って言っても…。こんな色とりどりな髪の毛をした人達なんて初めて見るから凄く…新鮮と言うか、妙に緊張してしまう。
『…外国人さん…よね?』
「もちろんでござるよ」
当たり前だよね。
寧ろ外国人さんじゃなかったら逆に怖い。
「紹介するでござる。右からプリーモ、G、ナックル、ランポウ、最後にDスペードでござるよ。」
一気にカタカナの名前を羅列されても全然覚えれない。
曖昧だが、一応今言われた名前を順番に読み上げていく事にした。
『ええっと、プリーモさんに…Gさんに…ナックルさん。それから……』
やっぱりわからない。
しかし雨月はどうって事の無い様に笑った。
雨月のこの笑顔が私は好き。
なんだか心が温かくなる様な、そんな笑顔。
「はは。ゆっくりで良いでござるよ。」
そう言って私の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
以前聞いたが、どうやら私達の身長差は雨月が私の頭に手を乗せるのにちょうど良いらしい。
「…雨月、その子は誰だ?」
先ほど紹介された人…確かプリーモさん?が立ち上がって言う。
「こやつは拙者の幼馴染の吉沢梨帆。この辺りで1番の日本舞踊をやっているでござるよ。」
1番って…もう雨月ってば。
自己紹介はどうあれ雨月に紹介されたので、ここは私もしておかなければ。
そう思いプリーモさんを見て一礼をした。
『初めまして…プリーモさんでいいのよね?』
「…!…いかにも。俺がプリーモだ。梨帆、よろしく」
『こちらこそよろしくお願いします。』
プリーモさんの紹介が終わると、プリーモさんの隣にいた赤髪の人を紹介してくれた。
「こやつはG。プリーモの幼なじみでござる」
『よろしく、Gさん』
「……けっ」
『なっ…!』
なんて人なんだ、いきなり初対面の人に向かって鼻で笑うこと無いでしょうに。
「雨月のような脳天気そうなやつだな」
『脳天気って…』
あげくこの言われようだ。ひどいったらありゃしない。
「まぁまぁ…でこっちが」
まだ腹の虫は収まっていなかったけれど雨月が紹介してくれようとしたので、仕方がなくだが怒りを収めることにした。
「ナックルだ。究極に綺麗なやつだな!お前と出会えたのも神の御加護があってのことだろうな!」
『いえいえ綺麗だなんてそんな…』
黒髪で見るからに元気なお兄さんみたいなナックルさん。
おまけに優しい。
どっかの誰かとは大違いだ。
そういった皮肉たっぷりな目でGさんを見つめてみた。
「…けっ」
『むっ!』
どっかの誰か…もといGさんは再び鼻で笑った。
デリカシーのひとかけらも見られない。