とある馴れ初めの物語
□長い序章
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=ジャズ視点=
『ジャズ!』
『アイアンハイド…瓦礫をどけてくれ…!足がイカレちまった…』
『わかった。おい、そこの人間、下がっていろ。』
『たぶんわかってないぞ。さっきから言葉が通じない…』
『何?仕方ないな…』
アイアンハイドは面倒くさそうに人間の少女をつまみ上げると、軍医のラチェットの方へ。
そしてジャズを瓦礫の下から引きずり出し、担ぎ上げた。
『どうやら…、決着がついたらしいぞ…?』
『最後の手段か…』
『なかなかやってくれるな、あの小僧。』
サムがメガトロンの胸にキューブを押し当てていて、その膨大なエネルギーに耐えきれず、メガトロンが苦しみながら崩れ落ちる。
今まさに、赤い瞳から光が失せようとしている。
その視線を辿るように顔を向けた先では、ラチェットの手に乗せられている人間が、ただじっとメガトロンを見つめていた。
重たい金属の腕が落ちる音が響く…
指先からは力が抜け、やがて赤い光も消え失せた。
保護した人間の頬を、涙が伝い落ちていく。
それは、普通に考えれば恐怖から解放された安堵によるものだが…
『どうかしたのか?ジャズ。』
『…人間と手を組んだのは、俺たちだけだったのか?』
『さぁな。可能性としては考えられるが…』
アイアンハイドの視線が例の民間人に向けられる。
『吐かせるか?』
『いや…考えすぎかもしれない。』
『だといいが。』