NOVEL

□彼の地で
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風に揺れる緑の絨毯をさくさくと踏み締めていく。



ミッションのためアイルランドを訪れた刹那はとある墓地に足を運んだ。

そこにはロックオンことニールの家族と彼の遺志が眠っている。

彼がまだ生きていた時に一度だけ一緒に訪れたことがあった。

あの時はこんなにも早く別れがやって来るなんて思いもしなかったけれど。

刹那は墓標に手を合わせて静かに目を閉じる。

見ているか、ニール?

この歪んだ世界を。


確かに俺たちソレスタルビーイングの武力介入によって世界は変わった。

しかし、それは俺たちが望んだ変革の形ではない。

むしろ戦争根絶から遠のいたのではないかと思うときもある。

破壊による再生がいまだ歪んでいるのなら、俺たちはその再生を破壊しよう。

だから見ていてくれ。

俺たちの戦いを。

全てが終わるその時まで。

刹那はゆっくり目を開けると、そのまま墓地を後にした。

墓の前に置かれた白い百合は柔らかな風に吹かれてゆらゆらと揺れていた。



彼の地で
(刹那は再び立ち上がる)



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