小説(その他)
□恋せよ男子
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「藤木が告白?」
「相手は誰だよ?」
「同じクラスの笹山かず子さんだよ」
「あわわ、ちょっとさくら!そんな大声で言わないでくれよ!」
「笹山って誰だ?」
「あぁーあのちょっとおとなしい奴だな」
「そうそう。笹山さんはね、キレイで優しくておしとやかでその上勉強もできて、もう藤木には超高嶺の花なんだよ。
そんな彼女にコイツは無謀にも告白なんぞしようと思ってるらしいんだけど」
「ふーん」
「でもさ、ウチの家族にその事を話したら、絶対にフラれるからやめとけって言われちゃったんだよねぇ。
藤木はアイドルに恋してるようなもんで、彼女とは釣り合わないって。
私もなるほどなって思ってね、だからこうして告白と笹山さんを諦めるよう藤木を説得している訳なのさ」
「わかってるよ…どうせ僕はカッコイイ訳でも勉強や運動ができる訳でもないし、その上卑怯で最低な男なんだ。
だから彼女と釣り合わない事なんて十分承知さ。
でも好きなものはどうしようもないんだ」
「どうしようもないったってねぇアンタ、実らない恋なんてもんは最初から諦めるしかないんだよ。
どうせ自分が傷付くだけなんだからさ…
頼むから2人も藤木に何か言ってやっとくれよ」
「おう。藤木、俺はお前を応援するぞ」
「えっ?」
「そうだな。思い切って告白でも何でもしてみりゃあいいさ」
「ちょ、ちょっとちょっとあんた達!私の話聞いてたのかい?
なんで藤木をけしかけちゃうのさ」
「だってよ、誰を好きになるなんてのは本人の自由じゃねぇか」
「ああ。他人に指図されたくねぇよ」
「他人じゃないよ!私は藤木の友人として忠告してやってるんだよ。
だいたい望みがないのに、傷付くってわかってるのに、後押しできる訳ないじゃん」
「そーか?」
「そーだよ!藤木よく聞きな。
例えば、私が大野君や杉山君と結ばれるなんて想像ができるかい?」
「えっ!う〜ん、それは、ちょっと、どうかなぁ…」
「でしょ?アンタの恋は、それぐらいハイレベルなんだよ!」
「なんかさくらってバカだな」
「はぁっ!?ちょっと大野君、そりゃあ一体どーゆー意味だい?」
「だってよ、人の気持ちなんてわかんねぇじゃん。
今日嫌いでも明日は好きになってることだってあり得るんだから」
「そうだぞ。別に俺達だってさくらとどーこうってのはあんまり考えらんねぇけど、その可能性はゼロじゃねぇ」
「………」
「そりゃあ0%ってのはないかもしれないけど…。
とりあえずアンタ達さ、そういうセリフは冬田さんやかよちゃんに言っておやりよ。
私なんかにゃもったいなくてきっとバチが当たってしまう」
「なんだそりゃ。まぁさ、とにかく頑張れよ藤木」
「ああ!当たって砕けてこい!」
「(あたしゃ絶対砕けると思うけどねぇ…)」
(藤木の運命やいかに…!ですが、実は続きは特に考えていないってゆーオチだったり)