novel

□探偵荒報円到
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某地方の某所に彼のオフィスがある。




彼の名は荒報円到〈こうほう・えんとう〉。




29歳、探偵である。




電話のベルが鳴った。




「荒報です」彼は電話を取っていった。




依頼人からの電話であった。




「すぐに行きます」彼はいった。




駐車場の車を駆って依頼人が指定した場所に向かった。




5分ほどで待ち合わせ場所のガソリンスタンドが見えた。




一人の少女が立っていた。



「依頼を受けた荒報です。乗って」




「ありがとう」




彼女は助手席に乗り込んだ。




10歳の小学生である。




彼はすぐに車を出した。




彼はいった。




「何があったのかな」




「お母さんがいなくなったの」




「うん」




「捜してほしいの」




「どこへいったかわからない?」




「昨日から帰らないわ」




「心配だね」




「どうすればいいのか」少女は泣いた。




「お母さんは捜し出すから」




彼はオフィスに着いた。




車を駐車場に置いた彼は少女とオフィスに入った。
部屋の中は書斎になっていて壁には額に入った絵が飾ってある。




「ここは安全だから。お母さんは捜しているから」彼はいった。




彼女はソファに座っている。




少女は持っていた本を読み始めた。




彼は他の部屋に入った。




内側から鍵をかけて調査のための機械に向かって椅子に腰かけた。




その部屋は12畳ほどのリビングルームで明るい部屋であった。




情報探索のスイッチをいれた。




世界衛星から入ってくるデータをチェックした。




地上の靴のひもまで見ることができる。




依頼人の母親の名前など情報をインプットした。




送られてくる映像をチェックした。




少女の母親の居所がわかった。




死体になっている母親の姿を彼は見た。




この町のはずれの空き地にその死体は捨てられている。




その他の情報をチェックした。




男3人がこの町で黒い色の車から降りてレストランに入っていく姿がある。




その3人の男が犯人である。




彼は映像をまとめてファイルを作った。
永田町の犯行である。




彼はそのまま部屋を出た。



少女の待つ書斎にいった。



彼女は冷蔵庫からいちごジュースを出して飲んでいた。




その子の名前は抜差評子という。




母親の名前は与謝子という。




「調べた」彼はいった。




「お母さん、見つかった?」彼女はいった。




「お母さんは政治家に殺された」




彼女は黙った。




彼は今回のファイルを彼女の前のテーブルの上に置いた。




彼女はファイルの写真すべてを見た。




少し黙ってから「仇をとってくれる?」と少女はいった。




彼も少し黙ってから「うん」といった。




「日本の国との戦いだ」彼はいった。




彼女は小さくうなづいた。



死体を少女と一緒に引き取り葬儀を済ませた。




彼女は彼が引き取った。




彼と彼女は一緒に暮らすことになった。




彼女は一人っ子として育てられ6年前に父親を亡くしていた。




彼女の通う小学校は大学まである私立の学校で父親の遺志で母親が彼女をいれた。
彼女は現在4年生である。



父親が莫大な遺産を彼女に残した。




1週間後の午後3時、彼と評子はもう一つのリビングルームでくつろいでいた。




「世間は相手にしないほうがいい」彼は彼女にいった。




評子は絵を描いている。




彼は紅茶を飲んでいる。




彼女の母親を殺害した犯人3人と永田町の政治家は2日前に彼が死刑にしている。



犯人の死骸は焼却して灰になっている。




(終)

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