本当に不可解なおとぎ話

□金太郎
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南足柄市の観光PRキャラクターを選ぶ市民投票で「キンタローマン」なるキャラクターが、ダントツで1位だったのに落選させられたニュースが話題になった…と、いう話を友人から聞いた。

コラムにしようとも思ったが、ニュース自体よく知らなかったし、実際のキンタローマンも見ていないのでヤメにした。


そういえば「金太郎」ってどんな話だったけ?

漠然と覚えてはいるけど、桃太郎とか花咲かじいさんとか一寸法師みたいに「これぞ金太郎!」とポイントになるエピソードがあまり無かったような…


熊と相撲取って、勝ったところかな?
でもなぁ…一連の話から察すると、金太郎は森の動物達とよく遊んでおり、熊との相撲も日常的に行われていたようだ。

そもそも熊に相撲で勝つって、それほどスゴイ事とも思えない。

クマは基本、四足歩行の動物。
後足で立ち上がる事は有っても、二足歩行が当たり前の人間に比べれば随分バランスが悪い。


相撲は単なる力比べではない。

相撲とは、大まかに言えばバランスの崩し合いだ。
自分の重心を安定させた上で、相手の重心のバランスを崩す事が相撲の勝負の決め手である。
体重が重い相手は重心が安定しているためバランスを崩し難いが、一旦バランスを崩すと体重が重い物ほどバランスを元に戻し難い。
だからこそ、身体の小さい者でも、自分より大きな相手に勝つことができるのだ。

だいたい、足の裏以外の箇所が土俵についたら敗けというスポーツで、元々地面に手ついた状態で安定してるヤツに勝ってもなぁ…
この体勢では、熊は「引き落とし」や「はたき込み」といったすかし技や、立ち合いの変化などに極めて弱い。

プロレスで勝ったっていうならスゴイけど…


その後、熊を手下にして、お馬の稽古…
これはスゴイと思う!!

クマなどの食肉目の類いは、背骨を大きくしならせ背筋力を使って走る。
従って、蹄で走るウマやウシのように背中が安定していない。
上下前後に激しく揺さ振られ、普通に走ってもロデオを常にやっているのと同じ状態だ!


しかも彼はマサカリを担いでいる。
自らの体の半分はあろうかという巨大な鉄塊を片側に乗せていたら、バランスは最悪だ!

ウマのように首が長く立っていないばかりか、顎も小さい熊のどこにどう手綱を着けたか解らないが、片手で手綱を握っていた状態で、テキサスの暴れ牛に匹敵する程の熊の背中に乗って、乗馬訓練をしていた訳だ。

危険極まりない!
万が一、振り落とされていたら、鋭く尖ったマサカリの餌食に!!


そして金太郎は動物達を従えて、橋の無い川にさしかかると、近くに有った大木を体当たりでヘシ折り、橋を作った…

エ〜!?じゃあマサカリは何の為に担いでたの!?

カギが開いてるのに、わざわざ蹴破って入って来るみたいなモンだ!

てか、周りの動物達も友達なら教えてヤレよ!
まぁ確かに、木をヘシ折らんと体当たりしてるヤツに「マサカリを使えばいいのに…」とは言いヅライ。

でもソコで教えてあげないと、なんでも力任せで解決する大人になっちゃうよ!
「君が肌身離さず持っている物は、木を切るための道具なんだよ」って!

かくして、「虎の穴」並みの厳しくも、奇妙キテレツな特訓に明け暮れた金太郎は、源頼光の家来となり、妖怪・酒呑童子退治などで活躍するが、この話はまるで後日談の如くポンポーンと省略されて進められたような気がする。

なんで?一番盛り上がりそうな話になったら、急にダイジェスト?

この一連の物語の中でも、最もクライマックスに相応しいパワフルなエピソードなのに!

どうやら、金太郎の童話と頼光四天王・坂田金時の伝説は別の話と考えてられているようだ。


う〜ん…そうなると、昔話「金太郎」は他の昔話に比べると、なんかビミョーな感じになってしまうんだよなぁ…


【注釈】
↓[コラム]
この作品はまだ事件・事故・出来事などのコラムを投稿していた頃のモノ。

↓[クマ]
哺乳鋼食肉目クマ科。
本州に生息するのはツキノワグマのみ。
ユーラシア大陸東部に生息するヒマラヤグマの亜種で、雑食化し木の実等を主食としてる。
ちなみに本文で、「クマ」と「熊」を使い分けているのは生物学的な話と文学的な話で使い分けているつもり…

↓[随分バランスが悪い]
四足歩行の動物は、基本的に後足は蹴り足としてしか使っておらず、人間のように軸足としては使えない。
また、四足歩行の動物が後足で立つと、人間でいえば爪先立ちでカカトを浮かし、膝を約90度曲げつつ、尻を突き出しつつ腰を若干曲げた状態である。
この格好で相撲をとると、朝青龍でも小学生の女の子にも敗けると思います。

↓[元々地面に手ついた状態…]
四足歩行を基本とする動物では、相撲で人間に勝つ事は出来ない…
カンガルーならどうだろう?
カンガルーも本来は四足歩行だが後足が太く、腰の辺りに重心が有るため、後足で立ち上がった時のバランスは、クマなどと比べればはるかに良い。
だが伝統と格式を重んじる大相撲のルールは、カンガルーにとって決して優しくはない。
なぜならカンガルーには、長くて太い尻尾が有る!
本文中にも書いたが、大相撲には「足の裏以外の箇所が土俵についたら敗け」というルールが有る。
カンガルーは立ち上がった状態では、どうしても自慢の尻尾が地面についてしまう。
カンガルーが見事人間に勝利するには、日本大相撲協会に超革命的な理事長が誕生し、公式ルールが「尻尾はついても良い」というように書き換えられなければならない。
あれ?まてよ?
「足の裏以外の箇所が土俵についたら敗けて」って事なら、前足がついても敗けではないのでは?
そういえば、大相撲のルールには「二本足で闘わねばならない」という項目は無い!
スポーツのルールはネガティブ・リストだ!
「やってはいけない事」だけが明確になっていて、それ以外は「やっても良い事」だから、ルールブックに無い項目は、暴力行為などの常識を逸脱した行動以外は反則にはならない。
「前足」を「手」と言い張っているのは人間だけだ!
もしも大相撲のルールの解釈で、「前足はあくまでも足」と解釈した場合、四足歩行の動物は二本足で闘おうが四本足で闘おうが勝手…
二本足で闘っていた動物が、引き落としで前足をついたとしても、それは試合中に四つ足に戻っただけ…
って、そんなルールの抜穴ばかりのスリ抜けで勝ち敗けが決まっていいのか!?

↓[頼光四天王]
実際に酒呑童子を倒したのは四天王の一人の渡辺綱という侍。
現在、節分の豆まきで「渡辺家では豆まきをしなくてもよい」という言い伝えは、渡辺という氏を聞いただけで鬼が逃げて行くからだとか…



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