本番

□Rainy day
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原因不明の病気だった。急に倒れて病院に運ばれて。すぐに息を引き取ってしまった。


突然すぎる父親の死に俺は呆然としていたが、父さんが消えた日々を過ごしているうちに、もう父さんはいない、って実感してワンワン泣いた。目が腫れたって気にしない。学校だって気にしない。まだ小学生の俺にはその悲しみに抗う術は持ち合わせていなかった。



だけど…、母さんは涙を見せなかった。まるでピエロのようにずっと微笑んでいた。


俺はその笑顔に危うさを感じていた。いつかその笑顔が崩れてしまう。母さんが壊れてしまう。そんな気がしてならなかったんだ。
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