【恋愛上等★イケメン学園】


□寮生は仲間なんです。
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神蘭高校に転入して半年が経とうとする頃、私は学校にも寮生活にも慣れ始めていた。
それは、寮で一緒に暮らしている彼らのお蔭だと思う。

それぞれ違う感性を持っているけれど、みんな私の事を支えてくれている。

初めから友好的で明るく話しかけてくれる榊くんと佑くん。
ぶっきらぼうで言葉遣いは悪いけど仲間思いの龍海くん。
無口でクールに見えて本当は優しい藤堂くん。
怖そうだけど包容力のある水瀬くん。

寮には、いつも気遣ってくれる寮長の梅さんが、学校には文句を言いながらも相談に乗ってくれる冴島先生もいる。

最初は嫌で仕方がなかったけど今は、ここで良かったとすら思ってる。
自分の気持ちの変化に驚きながらも嬉しく感じていた。

そんなことを帰りのホームルームが始まる前の教室で、ボンヤリ考えていた時、どこからか話し声が聞こえてきた。

「…だよなぁー」
「寮に住んでるんだろ?」
「男5人の中に女1人って…」

すぐに私の事を噂してると分かった。
でも、ここに来てから、そんなことはしょっちゅうだったから特に気にも留めず、何となく耳に入ってくる話を聞いた。

「マジかよ」
「いや、噂だけど…。けど、案外マジかもな」
「えー、そんな風には見えないぜ」
「バーカ。女なんて見かけじゃ分かんねぇって」
「にしても寮のヤツらとねぇ」
「アイツらも、やることやってんだ」
「つーか、それ目当てで優しくしてんじゃねぇの」
「そうかぁ?」
「硬派なのは見せかけかもな」
「なんか見る眼、変わるぜ」
「いい奴等だと思ってたのになぁ」
「にしても…毎晩、皆で乱…」

そこまで聞いて私は席を立ち上がった。
そして噂をしていた子達のところへ向い、中心にいた男の子の頬を叩いた。

パーーーン

「…ぃってぇ。何すんだよ!!!」

今にも私に殴りかかる勢いで立ち上がった彼に、私は怯むことなく言い放った。

「彼らの事を悪く言うのは止めて!」
「なっ…」

私の言葉に驚いたように呆然と立ち尽くす彼を見上げ、真っ直ぐ見つめながら静かに繰り返した。

「私は何を言われても構わないけど、彼らの事を悪く言うのは止めて」

教室が静まり返り、皆の視線が私達の方に向いていることを痛いほど感じた。



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