天孫降臨
□体温上昇
1ページ/1ページ
十番隊の執務室にて。
仕事中の冬獅郎に対し、一護はソファーの上で体育座りの態勢で身体を小さく縮こめながらガタガタと震えていた。
着ている服装がいつもの如く薄着の死覇装だから肌寒いのは当たり前といえば当たり前なのだが。
「…たく、そんなに寒いなら頭から毛布でも被ってたらどうだ?」
確かにそれは暖かそうかもと一瞬想像しかけた一護だったが、見た目的に格好悪い。
「え〜?なんか俺バカみてぇじゃん」
一護はぶっす〜と面白く無さそうに冬獅郎を見る。
すると、冬獅郎は暫くして視線に気が付き、手の動きを止めた。
「何だ?」
「冬獅郎はさ、なんか寒くなさそうだよな〜」
「いや、俺だって流石に寒い」
「え〜?そうなのか?…全然寒そうに見えねぇ」
「俺はてめえとは違うんだよ、餓鬼が」
(ムカッ)
明らかに馬鹿にしたように不敵に業とらしく微笑む冬獅郎に一護はちょっとムカついたらしく、喧嘩口調で言い返した。
「が、ガキって何だよ!それは冬獅郎の方だろ?俺よりちっこいくせに!」
冬獅郎はピクりと眉毛を上下に動かした。
一護の゛ちっこい゛という言葉が、冬獅郎の頭の中で嫌に強調されたようだ。
「ちっこい…だと?」
「あ、ヤベ…」
一護は身の危険を感じてバッと冬獅郎から離れた。
「そうじゃなくて…えっと…ゔ〜ん…あー…」
何か良い言い訳はないかと一護は唸りながら必死に考えた。
「俺はお前より背デカいだけだけど、お前は見た目よりも大人ぶってるってことだよ」
余程自信があったのか安心したようにホッと溜め息を吐いた一護。
だが、全くフォローにもなっていない。
率直に見た目ガキなくせに大人ぶってる奴だと言ってるようなものだ。
「そうか」
「うん、そうそう」
納得したのか怒鳴りもせず落ち着いた様子の冬獅郎に、一護はすっかり安心してニコニコと笑いながら相槌を打った。
「ふ〜ん?なぁ、一護。お前、確か寒いんだったな?」
「え?そうだけど…?何だよいきなり…」
次の瞬間、一護は冬獅郎にいきなり死覇装の胸元を引かれ、引き寄せられる。
「?」
「だったら−−−−」
「っ!!!!////」
冬獅郎がニヤニヤしながら耳元に顔を近付けてボソボソと囁けば、一護はボンッと顔を真っ赤に染め上げ、冬獅郎を睨んだ。
「なっ、何考えてんだよ!!バカっ!!//」
「何って、暖かくなりたいってそういうことだろ?なんなら今からするか?」
するりと一護の死覇装の合わせ目から冷たい手を差し入れる。
これから何をされるか想像した一護はゾゾォッと寒気が立ち背中に冷や汗を掻いた。
「するか!!…バカ野郎〜!!!」
一護は逃げるように猛ダッシュで部屋を出て行った。
後に残された冬獅郎はその後ろ姿を黙って見送った。
「…餓鬼」
普段子供扱いされている自分が今度は一護を子供扱い出来たことが可笑しくて笑みを浮かべる。
だが、やはり最後の゛バカ゛という余計な台詞が気に障ったらしく、後でどうお仕置きしてやろうかと考えてみるのだった…