復活!

爆弾少年
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サラサラした綺麗な銀髪。

長い手足、白い肌。

透き通ったエメラルドグリーンの瞳。

沢田達にだけ見せる、無邪気な笑み。



‥そして、ありえないくらいに整った顔立ち!






『獄寺、カッコイイーッ!!!!』





「頼むから‥真面目に授業受けてくれ…。」




先生がなんか泣いてるけど、あたしにとってはどうでもいいことなのです。

だって、校庭の隅ーの方で、獄寺が授業サボって不良を倒してるんだよ?
見なきゃ損でしょ!




「何故このクラスは、問題児ばかりなんだ‥」




先生の呟きなど、あたしの耳には届いていない。
今のあたしには、獄寺しか見えていないから。





『ああ‥マジ格好良いよ…獄寺‥。』





頬杖をついて、あたしは窓の外にいる愛しの彼を見つめ続けた。







獄寺の為なら死ねる。
チクショー!!羨まし過ぎるんだよ沢田ーッ!!!



十代目十代目って慕われてさー!‥それにしても、十代目ってなんだろ?…まぁ、それは置いといて‥


沢田!!あたしと入れ代われ!(あ、それじゃあ恋愛まで発展できないか‥ちっ)



本当に羨ましいよ…あたし、獄寺と一回も話したことないんだ。

悲しいよね‥。
幾ら頑張っても、彼には届かないんだ‥この恋心。













「‥落としたぞ。」





ある日の事。
今日は部活無いし、早く帰って録画しといたドラマでも観ようかと気分良く下校していた時だった。



不意に後ろから、声を掛けられた。





『はい?なんスか‥』





心臓が跳ね上がる。
あたしは暫くの間、身体が固まって動けなかった。






「…あ?」


『あぅ‥あー‥‥‥獄、寺…?』


「……?」



『‥‥い、



ぎぁあああああ○★▽*%¥※♯∀ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!』


「!!?」





咄嗟に自分の頬をつねる。
‥痛い。



夢なんかじゃない。
獄寺に、話し掛けられた!!





『な‥泣ける!今なら泣ける!!』


「‥は?…ってか、コレ。落としてたぞ。」





獄寺の手には並中の生徒手帳。
‥誰の?あたしの?





『‥あ、あたあた…あたしの…?』


「てめぇのポケットから落ちたんだから、そうなんだろ。」





獄寺は、投げ遣りに生徒手帳を差し出してきた。

早く取れと言わんばかりに、あたしの目をじっと見つめてくる。



そんなに見ないでくれ‥っ顔真っ赤なんだよ…!





『あ、有難う‥。』





あたしは顔色をうかがうように、上目遣いをしながら受け取った。


身長高いよなぁ‥マジ、カッコイイわ…。



念の為、中に入っている身分証明書を確認すると、紛れもなくあたしの物だった。





「‥なーんか見たことあるな…とか思ってたら‥お前、うちのクラスの奴か。」


『わからなかったの!?』


「話したこともねぇ奴なんか、覚えてるワケない。つーか、特に覚える必要もねぇーだろ。」





あたし、存在すら知られてなかったのか…。





『‥‥じゃあ…イイ機会だし、あたしの顔覚えてよ。』





あたしは爪先立ちして、獄寺にずいっと顔を近付けた。





「‥な…ッ!!…んだよっ顔近いッつの!!!」


『ちゃんと覚えた?ねぇ、覚えた?』


「わかったつーの!!覚えたから離れろ!!!」





あたしは言われた通り、獄寺から顔を離す。


獄寺の顔を間近で見られるなんて‥幸せ過ぎるって!



それにしても‥意外と大胆だなーあたし。恋するオトメは最強?
冷静を装ってるけど、実は心臓バクバク。





「何なんだよ‥意味わかんねぇ。‥まぁ、じゃーな。」


『ぅえ!?ま、待って!



えっと‥途中まで、一緒に帰ろ!!』





今のあたしは、絶対顔真っ赤。
断られたらどうしよう‥メチャクチャ恥ずいじゃん!





「‥は?‥あー……別に。好きにしろよ。方向が同じなら、どうせ一緒に行かなきゃなんねーし。」





片方の手だけ腰にあて、怠そうに言った。
‥マジですか?





『‥いいの?マジで?』


「そう言ってんだろーが。」


『マジ?マジ??』


「てめぇーの耳は飾りか?何度も言わせんな。」






喜びのあまり、身体が震えてしまう。






『い‥っっやったぁぁあああああああああッッ!!!!!!!!!!』


「!!!?」


『あああ有難うございます!!!もう本ッ当愛してます!!あ、いや!!今のは違うんです!!いや、違くはないんですけど‥とにかく気にしないで下さいね!!!それにしてもマジ有難うございます!!!大切なことなので二回言いました!!』


「え‥‥っ?…あ、ああ‥‥。(頭が元気…)」





緊張のあまり、あたし痛い子になってる‥。
獄寺がドン引きしてるよ…。





『じゃ、じゃあッ!カエリマスカ!!』


「なんで片言なんだよ‥。」





あたしはロボットのように、手足をピンと伸ばし歩き始める。
獄寺は、あたしの一歩後をついてきた。






『そそそそういえば、沢田達はどうしたの?』


「(流石に吃り過ぎだろ‥)十代目は先にお帰りになられたんだよ。大切な用事があるとかなんとか‥。


俺は不良共に呼び出されたから行ってきた。校舎裏にな。売られたケンカは買う主義だ。もち、俺の完全勝利。」


『へぇー‥凄っ。…でも、あまり無茶しないでね。獄寺の身に何かあったらあたし‥生きてけない‥!』


「何でてめぇの命が危なくなるんだよ‥。」


『あたしの命の源は獄寺なんだよ!』


「‥はぁ?源?」


『そ。獄寺がいるだけで、あたしは頑張って生きようと思えるの!』


「…よく分かんねぇ。」


『あたしにとって、獄寺は特別な存在なの!』


「何でだよ。」


『え!?えっと‥それは…。』


「‥‥?」


『‥もうちょっと、待ってて!何時か必ず話すから!』


「‥‥。俺が忘れない内に言えよ。」


『はい!』











こんな些細な会話でも、あたしにとっては大きな一歩。






‥実は、獄寺と帰る方向途中で正反対だったんだよね。でも、それはあえて言わなかった。

出来るだけ長く、一緒に居たいから。








『あたし、頑張って生きてて良かった。』


「‥は?」








これからは、アンタを目標に生きていきます!










『(先ずは、告白だな!)』

「‥何笑ってんだよ。」

『へ、へい!!!?……ご、獄寺の、喋り方が笑えて‥‥。』

「……は!?


(‥てめぇにだけは言われたくねぇ…)」

『(何言ってんだ…あたしの馬鹿‥‥!)』
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