復活!

変態ナッポー
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僕が人を好きになることなんて、無い。





絶対に。






そう、思っていた。










『骸ー‥‥絆創膏、持ってる?』






ザワザワとうるさい教室の片隅。


今は昼休み。僕は椅子に座り、特にやることもないので外を眺めていた。






彼女は、突然そう聞いてきた。





どうしたのかと思い、顔を見上げると、彼女は黙って右手を突き出してきた。



突き出された右手に、僕は視線を落とす。




彼女の手の平は、痛々しく擦り剥けていて、薄ら血が滲んでいた。






「‥転んだんですか?」






微笑んでそう尋ねると、彼女は手を引っ込めた。







『……バカみたいって、思ってるんでしょ?』








可愛いところもあるんですね。



そう言ったら、睨まれた。






『‥持ってないなら、用はない。』







彼女はそう言って、この場から立ち去ろうとする。







「待ってください。」







僕は座ったまま、彼女の腕を掴み僕の方へと引き寄せた。







『‥っ何‥‥よ………』







一瞬のうちに、彼女の動きが止まる。







何故って、僕が傷口を舐めたから。







僕は顔を上げ、再び彼女に向かって微笑んだ。







「舐めると、治るって言いますよね。」








『‥‥‥っバカ!!!!!!!!!!』






――‥‥バキッ!!






思いっきり、頬を殴られた。





‥‥まさか、女性に拳で殴られるとは‥。





彼女の怒鳴り声に驚き、教室は静まり返る。



‥先程までの、ばか騒ぎが嘘のよう。




クラスメート全員の視線が、痛いくらい僕達の方に集まる。







「…照れなくて‥いいんですよ?」



『黙れッ!!!!!』







彼女はひどく殺気立った様子で、教室を出ていった。








‥‥流石に視線が痛かったので、屋上に行った。







ちらほらと雲が浮かんでいるだけの、素朴過ぎてつまらない空が広がっている。





僕はフェンスに寄り掛かり、殴られて熱を帯びている頬に触れた。







黙れ‥‥ですか。







照れていることに、否定はしなかった。







「‥‥‥まだ、望みはありますよね…。」







――‥‥ギィ…ッ







不意に、目の前の扉が開いた。







『‥‥げっ……よりによって、今一番会いたくないヤツに‥‥‥。』




「クフフ……僕は今、一番会いたかったですよ。」




『‥‥‥あっそ。』







‥‥顔が赤いのは、怒っているからですか?…それとも……








人を愛するって、どんな気分なのか。




無知だった僕に、‥君は教えてくれた。









「これはもう運命ですね。」


『いい加減黙れよ。』






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