小説

□イルカせんせーの密かな悩み
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「先生さようなら!また明日ー!」


生徒達と別れの挨拶をする頃には、辺りはすっかり夕暮れ。
何時も通りの雑務をこなし、明日の課題のチェックをし、帰路につく。
生徒思いで、比較的カタブツ・・それで通っているイルカは、頻繁に呑みに付き合う事もない。

今年のアカデミー生は、近年稀に見る豊作で、何といっても名家出身の子供が多い。
そういう年度、イルカや他の教師は度々手持ち無沙汰になってしまう。
他家に劣らぬよう、親や親族からみっちり監督され、
一族ならではの術を日々磨き、予習復習まできちんとこなす子供達。

表立って態度には表さないが、アカデミーの担任である自分を軽んじるような目線を
生徒から直接感じる事もある。


イルカの手をもっとも煩わせた子供。
それでも、見かける度にせんせー、せんせーとなついてくれる子供。
子供らしく、食べ物をねだる子供。

だけど、本当に欲しいものは絶対に口に出さない、我慢強い子供。


自分の手を離れ、他の教師の「部下」になってしまったけれど・・。

今は、ナルトが無性に恋しかった。



***

続く
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