小説

□サクラちゃんとの極秘任務(サイナル)
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ヒジョーに不本意ながら、俺はサイと散歩をしている。
探し物なら手伝うよ、といわれたけれど、
あの流れの後で、サイを探してたなんてとても言える気分じゃなく。

暇だったら一緒に散歩しようぜと持ちかけたのだ。

俺ってば、「ボクは忙しいんだ、ナルト」なんて言われて断られるかなって思ってた。
でも、その時見せたサイの笑顔が、いつもの笑顔とチョット違ったんだってばよ・・。
ふわってホントに嬉しそうに笑ったんだ。

だから俺、なんか胸がぎゅっとなっちまった。
嘘ついて散歩に連れ出して、これからサイにヒドイ事する。

(ゴメンな、サイ・・・)

胸は痛んだが、
サクラの鉄拳制裁を思えば中止は許されない。

吹っ切るように、明るくたわいもない事をサイに話しかけて並木道を歩く。


「・・っていうんだってばよ!まったく、カカシせんせーは気楽でいいってばね!」

「ふーん、そう」

さっきの笑顔がどこへいったのか、
サイはさっきから気乗りしない返事しかしない。
たまに口を開いたかと思えば、変な話ばかりしようとする。

「で、祖チンはカカシ先生とやらと何処までいってるの?」
「そっ、祖チンっていうなってばよーー!!」

激しい突っ込みも、悲しいことに今は慣れっこになっている。

「何処までとか言われても・・波の国?三日月島まで?」

真剣に応えてやる俺に、
あろう事か馬鹿にするような目線を投げかけるサイ。

「流石祖チン・・まだお子様なんだね」


ムカッ。

(もう限界だってばよ・・!)

任務失敗でもかまわねー!サクラちゃんの鉄拳だって受けてやる!
もうコイツと一緒に歩くのは嫌だってばよ!!

サイを睨み付けて言う。

「俺と散歩するのが嫌なら、そういえってばよ!
 さっきからいちいちムカツク事ばっかり言いやがって!
 俺ってばもー限界!一人で帰るってばよ!」


踵を返して、サイから離れようとする俺の手が引っ張られた。

「ごめんナルト、言い過ぎたよ」

立ち去ろうとする俺と、ひきとめようとするサイで揉み合いになる。
サイのほうが体格が良い分、有利だ。
抱きすくめるようにされ、足を取られてしまう。

「ボク、ナルトと帰るの嫌じゃない。一緒に帰ろう、ナルト?」

先刻までの態度と、強引な引き止めで、俺ってばますます苛苛する。
打って変わって必死なサイに腹が立って、意地悪を思いついてしまった。

(サクラちゃん、作戦、いくってばよ!!)

***

いやいやと、むずがるように首をふるしぐさを利用して、
服の首筋に仕込んでおいた瓶のフチを舐める。
俺ってばスッゲー器用だってばよ!

ガッツポーズをしそうになったけど、
クスリの効果はたちどころに現れて、腰ががくんと落ちた。

サイに支えられながら、くず折れる俺の体。
薄目を開けて、サイの様子を伺う。

(サイってば、すげー驚いてる・・・)

ほんとだったらニシシと笑ってやりたいぐらい。
いつも冷静なサイが、目を見張ってナルト、ナルト!と大声で俺を呼ぶ。

(俺の事・・助けてくれんのかな・・)

直前までケンカしてた相手だけに、少し不安になるけど、
サイにはそんな様子は微塵も見られない。

俺の名前を呼びながら、
首筋に手を当て、脈拍を調べ、的確に俺の体の状態を確認してる。


(あっ・・・そこはマズイってばよ・・!!)

・・・首筋に手を当てたサイの指に、あの小瓶が触れた。

***
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