being hidden by a deity

□君の心を彩る憎悪は暖かい
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微かななれない揺れに頭が痛みを訴えた
気持ちが悪い‥‥身体がだるい、視界が揺れる。
何があったんだ記憶が途切れ途切れで曖昧過ぎる。
身体を起こしたいが動かない、右目の眼帯が無くなっている開けた両目から入ってくる白い天井、薄いカーテン、丸い窓から見える青空、カモメの甲高い鳴き声、波の音‥‥

「海の上、か‥?」

ようやく起こした身体は鉛のように重い頭がぐらぐらと回るいったい何なんだ。ギリッ、と奥歯を噛み締めて頭痛をやり過ごす
しかしどこかで体験したことがある気がするな‥
シャッ、とカーテンが開いたそう、カーテンが開かれて青雉さんがいたことが
けど違った黄色の髪にその凛々しい胸板にはドクロマークが髭を生やしたような物が彫られている

「起きたかよぃ」
「‥‥えぇ、こちらは何処ですか?」
「覚えてねぇーのかぃ?まぁいい。俺はマルコってんだよろしくなっ!」

ニカリと笑みを浮かべたマルコと名乗った男は船医を呼んでくる、と姿を消した

右目は閉じた。触れれば眼帯はやはりなく瞼に触れた。頼んで眼帯を貰おうか‥‥
開いた扉から部屋に入ってきたのはナースだった、薄いピンクのナース服に身を包んだ綺麗な女性が2人

「起きたのね。よかったわ心配してたのよ」
「‥‥‥‥」
「大丈夫?」
「はい。でもなぜ私はここに‥‥」
「漂流していたところを引き上げたの」

漂流。私はあの崖から堕ちたまた死ねなかったのか、俯いて思考の海に潜り込んでいると頬をやんわりと包まれて顔が上げられた
ナース服に身を包んだ女性の一人が心配そうに私の顔を覗き込んでくる

「大丈夫?」
「‥‥‥」
「やっぱり顔色がよくないわ。マルコやっぱり船医さん連れてきてちょうだい」
「わかったよぃ」

ひらひらと手を振りながらカーテン越しに壁に寄り掛かっていたマルコさんが部屋を出ていくのがわかった右目を手のひらで包むジクリジクリと熱い

「目痛むの?」
「あ、いえ眼帯いただけますか、」
「いいわよ」

眼帯が手渡されると同時にマルコさんが男を連れて部屋に戻ってきた


君の心を彩る憎悪は暖かい


怖がらないで?と誰かが遠くで私に向かって叫んでいたのを私は微かに覚えている───



おわり

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