※ユフィの墓参りに来たスザクが一人でお墓に語りかけているという設定です。一応死ネタなので苦手な方は閲覧注意!
えーと……ユフィ。お久しぶり。元気?僕はとっても元気です!
一年に一回だけしか、こうして君に会いに来なくて、本当にごめん。
本当は……命日にも来たいんだけど、そうしたら僕泣いちゃうから。君は優しいから困っちゃうもんね。だけど、僕の誕生のこの日だけは、自分へのご褒美って、決めてるから。
だから、今年も君に会いに来たよ?
君は怒っているかもしれないけれど、しばらくお話させてね。
綺麗にお花が飾ってあるね。コーネリア様かな…君の一番好きな薔薇。
コーネリア様といえば、今でも現役であちこちを飛び回っていらっしゃる。もう皇女とか騎士とか、そんなこと関係ない世の中なのに、今でもギルフォード卿は姫様姫様ってお側を離れなくて…それでも結婚しないところがあの二人らしいよね。
そのコーネリア様はシュナイゼル様の生活力の無さを嘆かれて……今はお二人一緒に住んでいるよ。
僕も皇族だった頃は気づかなかったけれど、シュナイゼル様ときたら放っておいたら三日三晩なにも食事を摂らない、寝ない、同じ服と、本当にとんでもなくて!せめて死なない程度に飲食させねば!って、コーネリア様が本を片手に頑張っていらっしゃる。なんだかんだうまくいってるみたいで、ナナリーも「わたくしも一緒に住みたいです」っておねだりしてるみたいだけど、どうだろうねえ。
そう!ナナリー!ナナリーといえば、びっくりするくらい綺麗になったよ。
元々可愛い女の子だったけど、今じゃ大人の女性。早いね。
最近じゃふとした仕草が、ユフィ、君にとてもそっくりで、ドキドキしている僕がいます。え?あ!違うからね!ナナリーはあくまで僕の妹みたいな存在で…!
えーと…とにかく、そのナナリーももうお年頃だから、そろそろ結婚を、って話が持ち上がっている。なんせコーネリア様やシュナイゼル様は今だ未婚だからねえ………でも、ナナリーったら「わたくしは国と結婚するからいいんです」とか言い出して。世界各国の名士たちが花嫁に射止めようと頑張っているよ。勿論、ナナリーが気に入った相手じゃないと僕が認めないけどね?
でも、ナナリーがあんまり君に似てきたせいかな…最近になって、ユフィの夢をよく見るんだ。
夢の中の君はとても幸せそうで、花嫁衣装を着ている。夢の中でくらい僕がそのお相手でもいいと思うんだけど、君の花婿さんはもう文句なしのすごい美形。しかも性格まで良いんだ。
なのに君ときたら!よりによってブーケを僕に渡して!
『スザクはわたくし以外の方と幸せになって下さいね』とかいうんだからもう!そのくせ後になって『やっぱりスザクが他の人と幸せになるだなんていやです』とかなんとか、ブーケを奪い取るんだから、夢とはいえ本当に現実味があったよ……。それに頷いた僕も僕だけどね。
でも…君が生きていたら、きっとそれはいつか来る日の夢だったんだろうね。
君が他の誰かの奥さんになるのは正直悔しいけれど、あのとびきりの笑顔で手を振ってくれているなら、僕は悔しさを飲み込んで、お祝いの祝辞でもなんでも、やってみせたよ。
……ああ、ごめんね。また変なことをいった。
それでもユフィ。僕は今でも無意識に、君の姿を探してしまう。
君が大好きだった中庭あたり、異国の店、新聞の隅、明け方の街、通り過ぎた二階の窓でも、夢の中でも。
ずっと、君を探しているよ?
ああ…………ほんと…なんでこう、僕は君に悲しい顔をさせるのが得意なんだろう。
これじゃあいつまで経っても君に会いに行けない!本当にごめんねユフィ!
……ああ、いけない、3時からEU解体の処理があったんだ。それから、ロイドさんのところに顔を出して、なんとしても科学局の局長に就任してもらって。
……ユフィ。
死にたがりの僕は悲しんでいいのか、喜んでいいのか。
することがたくさんありすぎて、まだまだ君に会えそうもない。
だから、君はその頬っぺたを膨らませて、気長に僕を待っていてね。出来たらまた、あのとびきりの笑顔でいてくれたら嬉しいけど。
じゃあユフィ……また来年。
二十歳の誕生日に、一緒にいてくれてありがとう。
(ユフィ)
(君がいたあの頃より、昨日より、一時間前より、いつも一番に君を愛している)
そうして僕は、貴方にいつか会うためだけに、今日も年を取っていく
END
500番ゲッター、のあ、様に捧げます。スザク→ユフィということで独言にしてみましたが、いかがでしょう…!喜んでいただけたなら幸いです^^
お持ち帰りは、のあ、様のみ可です。リクエストありがとうございました!