彩りの陽の書

□僕は彼に
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差し込む木漏れ日が心地よい
目の前には青い海が広がっている

僕の記憶が戻ってから
留年の手続きとかいろいろすることがたくさんあって
こんなにもゆっくりと時間をすごしたのは久しぶりだった

木の根元に腰をおろして持ってきた本を広げ
適当に物語の続きのまでパラパラとページをめくる

別にゆっくり読書をしにここに来たわけではない
ここにくれば彼に会えるかもしれないと思ったのだ

今ごろ彼は何をしているのだろうか・・・
親友の弟を引きつれて
誰かとデュエルしてる?
それとも
デッキを調整してる?
なんにしろカードに夢中な彼の姿が目に映る

最近、彼のことが気になって仕方がない

ふわりと揺れる茶色の髪の毛
大きな瞳
太陽の笑顔

もっと近くで見てみたい触れてみたい


「あれ、吹雪さんじゃん」

急に後ろから聞こえた声は
今まで思い描いていた彼で

「吹雪さんもよくここに来るのか?」

「え?ああ・・・君に会えそうな気がしてね」

本当に気がしただけで
あまりの偶然にかなり驚いている自分がいる

「俺も吹雪さんに会いたかった」

「え?」

思いもしなかった答えが帰ってきたので
思わず鼓動を高めてしまった

太陽の笑顔がこちらに近づく

「俺とデュエルしてくれよ」

「・・・」

「あの時は吹雪さんじゃなかったんだろ?
俺、吹雪さんとデュエルしたい。ダメ・・・かな」

駄目と言ってもきっと彼はデュエルをせがむだろう
まぁ、断るつもりはないが

「いいよ、でも手加減しないからね」




あぁ・・・そうか、僕は彼に恋をしたのか
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