☆★続・Rebel★☆

□青の煩悶
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だからといって、
何が変わったわけでもなく



ケロロ君の傍若無人ぶりは
相変わらずで――


あの悄らしいケロロ君は
一体どこへ行ってしまったんだろう……
と思ったりもする。



けど……




多分そんなケロロ君にこそ
僕の心は捕らわれてしまってるんだ、とも思う。





そして彼は相変わらず
僕に焼きそばパンを買いに行かせるし、
訓練用ソーサーも
「こっちがいい」と言って、
僕のを横取りするし、
訓練が遅くなる僕を待たずに
さっさと夕食を済ませて
(ギロロ君とお風呂に入るのは
やめたみたいだけど)、
しれっとした顔で
「宿題見せてー」と
僕の部屋にくるのだ。






そう





来るんだ、君は……






さっさと風呂に入って……







シャンプーの匂いをさせながら……








湯上がりで……







ほんのり桜色に染まった頬で……












「宿題〜」











「見せて」ということすら端折ってる







いや、そんなことはいいんだ……この際……





問題は……




君が懲りずに
毎晩無防備に
僕の部屋に現れること――











拷問だ……









僕は
自分のしでかしたことで
死にたくなるほど落ち込んだんだよ……






自分でいうのもなんだけど
僕は比較的我慢強い方だとは思うんだ





だけど





僕の中では



嫉妬心や
独占欲や



君に対する……




………その………





……なんというか……





……いろいろ……





渦巻いてて……






一度それが爆発してしまうと


もう止まらなくて


自分じゃどうしようもできなくて


こないだみたいなことになってしまったら



困るから……



困るから……










懲りてよ!ケロロ君








頼むよ……









僕は
もう二度と同じ過ちは繰り返すまいと
心に固く誓ったんだ!







誓ったんだ……







誓ったんだよ!







あんなに辛い思いは
二度としたくないし







君を失うなんてこと
もう想像するのも悍しい







だけど
僕の自制心は
どんどん乏しくなって……








ああ、もう
今日こそ言わなければ!





限界を迎えてしまう前に








「………ケロロ君……」


「……あー?……何ー?……」


「宿題できたら
ケロロ君の部屋に持っていってあげるから……」


「ああ、ご飯食べてなかったっけ?
んじゃまた後でくる」



ケロロ君はノート類をそのまま置いて立ち上がった。


「あ!ちょーどボキャ天の時間だしな!
見終わったら来るよ」



「あ…あの!」





僕は慌てて口を挟む。




言わなければ、今日こそは……




「何だよ?」


「あ、あの……
もう僕の部屋には来ないで」


「え……」


「僕の部屋には……
 ……もう来ないで欲しいんだ……」








言えた





言えたけど……






とてもツライ








だって
ホントは……



君がこんなふうに僕の部屋に訪れて
どうでもいいことを
楽しそうに話す姿を見ていられることに
僕はたまらなく幸せを感じている



キミのそばにいられることが



嬉しくて仕方ないのだもの







だけど






僕の中で膨れ上がる欲は
きっと留まることを知らないから







このままだと


また……



大変なことになってしまうから……







壊れるぐらいなら
君を遠くでみつめているほうがいい……



と、思うんだ……







今だって……
ほんとに
かなりヤバイ……








君に触れたくて






抱きしめたくて……





泣きたくなるほど愛しくて……









アレ?







やっとの思いで言った言葉に
ケロロ君は黙ったまま
返事はいっこうに返ってこない











怒ったのかな…?









見上げてみると

ケロロ君は口をへの字に曲げて
丸い瞳でまっすぐ僕を見据えて佇んでた




その顔は
怒ってるというよりも
悲しげで――





僕は言葉を失ってしまった。


(...to be continued『緑の落胆』へ)





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