★短2★

□好き(D66&K66)
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チュッと音がして、
合わせられていた唇が離れると
そのまま滑るようにドロロの唇は動いて
瞼にそっと口付けられた。
伏せていた瞼を上げ、上目づかいで見上げると彼は眩しそうに笑って言うのだ。




「好きだよ……」




知ってる

分かってる



もう何回も
何万回も聞いた言葉


言われなくても
感じられること――






だけどケロロはドロロにそう囁かれるのが大好きだから、
何回だって聞き返す




「何て……?」


「……ン?」


「何てったでありますか?」


「……好きだよ……」


「どれくらい?」


「……どれくらい……
 …そうでござるな……」




青い両手が頬に添えられ、
軍帽の星マークにキスが落とされる。
そして額に、目に、頬にと、
唇は寄せられては離れ、また落ちる。
その度に「好きだよ」と囁きながら。
互いの唇が触れて離れ、目が合うと、
ケロロは悪戯っぽく笑ってから、
拗ねたような表情で口を尖らす。



「も、終わりかよ……
 ……この程度でありますか……」



そういうと、ドロロの首に両腕を巻きつけ、
少し熱くなった頬をその胸に押し当てた。
その仕草にドロロの青い瞳から笑みが零れる。
すっかり甘えモードになっている思い人を抱き返し、耳元で囁く。



「まさか……」





足りぬのなら


いくらでもあげる――


君への『好き』は
溢れて留まることを知らないから……




太陽の陽射しが降り注ぐように――


暖かい風に包まれるように――


緑の体の至る所、
頭の上から爪先まで――

余すことなく、

時には優しく触れ、
時には強くはむように、
口付けていく。





好きだよ…

大好きだよ、ケロロ君……





「……ん……
 …ぅん………ドロロ………」

「………何………?」

「………我輩にも…
 …『好き』って……
 言って欲しいでありますか……?」



一瞬止んだキスの嵐にケロロが伏せていた瞳を開けると、
青い瞳は穏やかに微笑んで言った。



「……いいでござるよ……言わなくても……」

「なんで?」

「……わかってるから……」




黒く大きな瞳が見開く。
吸い込まれそうな闇夜の瞳にじっと見つめられると、
もう視線を外せず、ドロロは動けなくなる。
ふとケロロはケロケロと笑い、人差し指をドロロの唇に当てた。




「エラソーなこと言わずに……言わせろであります」




だって言わなきゃ苦しいジャン……




「…………好き………」






わかっていたって、知っていたって



「好き」は



聞きたい言葉


言いたい言葉




(fin)

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