★長★

□Time after time【最終章】
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数ヶ月前、クルルが地球から姿
を消した日―――
ドロロもまた姿を消した。

肩を落とし項垂れるケロロには
クルルも自分も必ず帰ってくる
から、という置手紙だけが残さ
れていた。
数週間後にドロロは戻り、ただ
一言、「クルル殿は帰ってくる
よ」とだけ言ったのだった。
ケロロは驚いてドロロにいった
いどういうことなのかと詰め寄
るが、ドロロはどんなに聞いて
もそれ以上は何も答えなかった


実のところドロロはアサシン部
隊TOPのコネを活かせば、軍上
層部とのコンタクトはいとも容
易く行える。クルルの後を追う
ようにケロンに帰ったドロロは
しばらく現況を見守った後、ク
ルルならば数ヶ月でこの状況を
回避できるろうだと読み、軍の
上層部にペコポンにおいてクル
ルはケロン軍規約違反・宇宙憲
法違反である同胞の記憶消去、
兵器・設備等の消去を無許可で
行い、ペコポン侵略活動に多大
な損害を与えた(実際には侵略
活動自体には何の損失もないの
であるが)、と上告し、アドイ
ラブ星との問題が解決し次第、
それなりの処分、後始末をさせ
るべきではないのかと訴えたの
だった。




「涼しい顔して ひっでーこと
すんじゃねーか……」


再びキーボードを打ちならしな
がら黄蛙は「クックッ」と喉を
鳴らした。青蛙は腕を組み、ほ
んの少しだけ首をかしげて言っ
た。

「フェアじゃない勝負を
したくなかっただけ……
でござる」


青蛙は柔らかく笑って囁いた。



「クルル殿とて特に出世を
 望んでいるわけでは
 ないでござろう?」


何をこたえるわけでもなく、ク
ルルは再び、「クックックッ」
と笑いながら、「相変わらずム
カつくヤローだぜ」と呟いた。


「俺はな……」


キーボードを叩く音がカタカタ
と響く。


「勝ち目のない勝負は
 しねーんだよ」


黄蛙が小声でそう言ったときに
ピコピコと足音を響かせながら
誰かが近づいてくる気配がした
。黄蛙は「クック……」と笑っ
て言葉を続ける。


「でもよ……」


足音はどんどん近付いてくる。



「勝負させるっていうなら
 ぜってぇー負けないぜぇ?
 どんな手使っても。
 俺様の辞書に『負け』は
 ないからなぁ」



青い蛙はフッと笑って答える。


「大丈夫でござる、
 拙者も決して
 負けはしないから」


クルルがクックッと笑いながら
「何が大丈夫なんだか…」と呟
いたときに通路の自動扉が開き
甲高い声が響いた。



「あー!!
 やっぱりであります!!」


緑色の蛙は開かれた扉からぴょ
こぴょこと走ってくる。


「もー!!
 本部からカンカンになって
 連絡が入ったで
 ありますよぉ!
 クルル曹長!!
 どうしてチミは普通に
 帰って来れないのかなぁ?」


ケロロの言葉にクルルはキーボ
ードを打つ手を止め、ぽかんと
口を開け振り返る。確かにケロ
ロの記憶は消去したはずなのに
――とパソコンの画面を覗き込
んでキーを叩く。Complete
runningの文字を眺めながら
「あんたが話して聞かせたのか
い?」とクルルが小声で青蛙に
問いかけるとドロロは笑って
「ケロロ君は自分で思い出した
んでござるよ」と答えた。


「そーかい……」


ぽつりと言うとそのままクルル
は無言でキーボード操作に戻る
。肩をいからせながらケロロは
クルルに近付いて噛み付くよう
に叫びだす。



「ちょっとぉ!クルル曹長!
 久々帰ってきて
 「ただいま」ぐらい
 言えないんでありますかっ?
 本部には我輩が
 怒られるし……
 ふんっとにもう!!

 ドロロもクルルが 
 ここにいるの
 知ってたんだったら
 なんで早く我輩に
 報告くれないんでありますか?
 
 なんなんでありますかっ、
 あんたたちはっ!
 二人でこそこそと……」


「こそこそなど……」

青蛙が慌てて言い繕うとすると
黄蛙はクックックーと声をあげ
にやりと笑って話し出す。


「隊長、そこの人が
 3Pしたいんだってよ」

「はあぁ〜〜〜っ!!???」

「ちょっ、ちょっと!!!
 クルル殿っ!」

「……な、何言ってんの?
 おまい……」

「そ、そんなこと
 拙者は一言も……
 クルル殿っ!
 根も葉もないようなことを!」


「だって
 そーゆーことだろぉ〜?」

「ち、違うって……
 ケロロ君、
 真に受けないで……」



二人のやり取りを聞きながら、
ケロロの顔は自然とほころんで
くる。


とりあえずは
元通りでありますな――


やらなきゃいけないことも、
考えなきゃいけないことも
山積みではありますが……


今は――


ココロの問題……


順調――であります

……


ってことにしておくであります!
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