★長★

□Time after time【第3章】その二
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小さく息を吸い込む――。
今更こんな風に向かい合うと変
な緊張が体を包み、胸の鼓動は
どんどんその速度を増していく
黄色い手が頬に触れると、びく
りと肩が震えたが、その手の温
かさに心は次第に落ち着きを取
り戻していく。
頬に添えられた手に自分の手を
重ね、少し顔を動かし、その手
の平に口付ける。黄色いもう片
方の手が緑色の後頭部に回ると
体はゆっくりとシーツの海へと
落ちていった。
二つの顔の距離は徐々に狭めら
れ、唇が合わさる。ついては離
れて、次第に深く絡まり、幾度
も角度を変えて交わる。
けれどもそのキスはひどく優し
くて――その優しさにケロロは
胸が焦がれそうになる。
小さく吃音が鳴り、唇から温も
りが去ると自分をみつめる視線
に気づいてケロロは微笑んだ。

「……クルル…優しいね…」

優しい――と言われ、ふと脳裏
をよぎった言葉をつい口にして
しまう。

「……あいつは
 優しくないのかよ?」

黄蛙の唐突な質問にケロロは少
し眉を潜め、クルルから視線を
外し、宙を見つめる。

「……優しいよ……凄く……」

緑蛙は微かに笑って目を伏せた
訴えるような目でケロロを見つ
めながら、クルルは何か言おう
と口を開きかけるが、ケロロは
人差し指をクルルの口に当てそ
れを制した。少し間を空けて、
囁くようにいう。

「ドロロと寝てみたくなった?」

悪戯っぽく笑ってみせるが、切
なげに自分を見つめ返すケロロ
の瞳にクルルは目を背けた。
肩をすくめ、自分の投げかけた
質問のくだらなさに対して内心
で舌打ちをした。

――何聞いてるんだ、俺は…。

クルルは少しだけ片側の口の端
を持ち上げ、フッと笑うと、ケ
ロロの首筋へと顔をうずめた。

―― 一度だけ…
―― たった一度でいい…

首筋を軽く噛んでから鎖骨に唇
を滑らせる。小さく漏れる吐息
が暖かく耳元に吹き付け、自分
に絡みついた緑の腕に力がこも
る。溢れる思いのままにクルル
はケロロの全身に口付けては甘
噛みをしていく。膨らみかけて
いるケロロの中心部にたどり着
くと丁寧になで上げながら狂お
しいまでの愛撫を開始する。

「あ……はっ……クルル…」

自分が奉仕をしてもらいたいわ
けじゃない、という思いからケ
ロロは少しクルルの肩を押し抵
抗する。

「あんだよ…」

「……わ…我輩そんなに
 してもらわなくても……
 は……ン……」

「大人しくしてな」

そういうと再びクルルは顔を落
とし、すでに天上を仰いでいる
ケロロの欲を口に含むと上下に
吸い上げ始めた。びくんと体を
少し体をそらせてケロロは甘い
声を上げる。

「はあっ!……あっ……」

次第に激しくなる愛撫にケロロ
の体はびくびく震えて、瞳の端
には涙が浮かぶ。ケロロは自分
の手を口に運び、指を痛いほど
噛みしめた。と、クルルが顔を
上げ、口に含んでいたケロロの
腕を掴む。

「……クルル……?」

「……聞かせてくれ……
 あんたの声を……」

再び行為を再開させながら、
囁く。

「あんたの……
 声を聞いて
 おきたいんだ……」

留まらない昂揚にケロロは首を
振り、泣きながら声を上げる。
背筋には電流のような刺激が走
り、今にも達してしまいそうに
なる。

「……んっ……ンはっ……
 も……も……もう……
 お願い…クルル…」

「イっちまってもいいぜぇ…」

「……や、ヤダ……
 我輩は……クルルが……」

激しく脈打つ血流に押し流され
不足する酸素を補うために呼吸
は短く速くなる。絶え絶えに息
を吐き出しながら、ケロロは声
を振り絞る。

「…クルルが……欲し…い…」

クルルの動きが止まる。ケロロ
は止まった動きに少し安堵した
ように小さく息を吐き、言葉を
続けた――。

「……クルルに……
 来て欲しい……」

黄色い蛙は顔をあげると震える
ケロロを見つめ、弱く笑った。

「そうかよ……」

ケロロは再び黄色い背中に両腕
を回すと、クルルの顔を引き寄
せ口付けた。そしてクルルの頭
部を抱えこみ、求めるように何
度も唇を合わせてくる――。

――あんたの気持ちを
  汲み取れないのは……
――俺のほうだな……
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