Novel

□約束
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プロローグ〜始まりの日


――――――また今日がやってくる。



朝のまばゆい光をうけながら私はベッドから起き上がった。



雪白 恋(ゆきしろ れん)、15歳、今日から高校生。





ベッドから降りて制服に着替える。
淡いブルーのブレザーや、青と水色のチェックのプリーツスカート。それにおそろいのリボン。ここら辺では可愛いって有名な制服。
中学は白黒のセーラーだったからなんだか変な感じ・・・。





中1から伸ばしている長い薄く茶色い色をした髪は、入学初日とあって優等生気取りで左右に三つ編みにする。
緩くウェーブがかかっているので編みにくい。
もちろんこの色もウェーブも地毛。







――――――コンコン。
髪を結び終えたらちょうどノックがかかった。「はい。」と返事をすると扉が開いた。
「おはようございますお嬢様。朝食の準備ができていますよ。」
そういいに来たのはこの家の使用人権、私の世話係の葵(あおい)。



我が雪白家は、世界で5本の指に入るほどの有名な財閥なのである。



「は〜い。」と言って、葵といっしょに部屋を出る。
葵は微笑みながら私を見る。
私が生まれたときからずっとそばにいてくれる葵。
私は人の目を見てその人の良し悪しがなんとなくだけどわかる。
葵の優しい目は好きだ。綺麗な瞳をしている。





昔も今も変わらない―――――――――。





☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆







「制服、似合ってらっしゃいますね。」
「本当!?えへへ・・・なんか慣れてないから変な感じするの。ドキドキ・・・。」
新しい制服姿が妙に恥ずかしくて照れ笑いをする。
「そのうち慣れますよ。」
「そうだね。」っと相槌を打って食堂に向かい、朝食を取ってから学校に行く用意をし葵や他の使用人達に行ってきますと言って家を出た。






私は世間一般で言うお嬢様だけど、登下校に車なんか使ったりしない。
家からそんなに遠くないし、歩くのが好きだから。
なにより、目立つのが嫌。
私は落ち着いた日々が過ごしたいの。




ゴソゴソっとかばんの中を探って、淡いオレンジの手帳を出した。
手帳を開くと写真がある。優しい笑顔を浮かべた男の人の写真。





・・・――――――――ねえ、海斗。今日から新しい日々が始まるよ。





心の中で写真に話し掛けながら、私は学校へと向かった――――――。
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