Novel

□hope
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(1)

「―――――茶和。」



教室で帰りの仕度をしていたら後から声がかけれらて私は振り向いた。



「なあに?水姫ちゃん?」
声の主は私、時任 茶和(ときとう さわ)の大親友の水姫ちゃん。
「帰りどっか寄ってこ・・・。」
ぜひ!!と言いたいところなんだけど・・・・・・。
「あ、えと・・・・・。ごめんね水姫ちゃん!!今日はちょっと・・・・・。」
本当はねすごく行きたいんだよ。と心の中で思いながら水姫ちゃんに謝る。
「・・・・・”アレ”できたの?」
”アレ”?何だろう?と頭の中を巡らせて考えるとすぐに思い当たるものがあった。
「・・・ああ、うん!!だから今日持っていかなくちゃいけなくて・・・。」
そう言うと水姫ちゃんは「そっか。」といって帰りの準備を手伝ってくれた。

「ありがとう。本当にごめんね?また誘ってね。」
名残惜しくも水姫ちゃんに手を振りながら教室を出て私はある場所えと向かった―――――。







♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪






「――――こんにちはー!」




扉を開くとカシャ、っと軽快な音が聞こえてくる。
ここは撮影スタジオ。
人気のモデルさんから芸能人やタレントさんがここで写真をとって本になって出回る。
正真正銘の撮影スタジオです。






「あら、茶和ちゃん。久しぶりじゃない・・・?」



ある人物を探してキョロキョロしていたら女の人から声をかけられた。
ファッションデザイナーの沙良(さら)さんだ。
「こんにちは。お久しぶりです。」
軽く会釈をして笑いかける。
そうすると相手も笑い返してくれる。
沙良サンは美人で笑顔がとても似合う。
ここに出入りするようになってから、1番最初に親しくなったのが彼女だ。
ファッションデザイナーだから服のアドバイスなんかをしてくれるしっかりしたお姉さん。
すごくすごく憧れる。

「・・・誰か探してたみたいね。って、まあ解ってるけど。・・・・・彼ならあそこよ。」

にっこり笑いながら沙良さんはスタジオのある一角を指差した。


「あ・・・・・!!」


沙良さんが示した方向を見る。そこには私が探していた彼がいた。
パアッと自分の表情が明るくなるのがわかる。
私は沙良さんにお辞儀をして彼のほうへと走った。





「織(しき)!!!」





スタジオに声が響く。
名前を呼ばれた彼、識がこっちにゆっくりと振り返った。
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