10/02の日記

14:05
陽が昇る
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君が、愛しい5題2
生命は、
いったいどこからやってくるのだろう―

…朝もやがけむるこの街で、長かった夜に一筋の光が射し込む。

いつもと変わらないその朝焼けに、
思わず身震いをした―
大切な生命をこの手に抱いた特別な朝は眩しくて。
目が開けていられない゜
それでも、今日もまた、陽が昇る―


…誕生と巡り合うチャンスは、一生のうちそれほど多くはないだろう。

ましてや、自分の身にそんな瞬間が訪れるとは、
今まで想像していなかった…、
いや、少なくとも最愛の人と共に生きようと決めた時までは。


日に日に大きくなっていくお腹。

ぽこん、
とお腹を蹴る仕草を、
胎動、というらしい。

ベビー服は黄色にしていた方が、どちらが産まれても安心よ、
…そう看護師さんが教えてくれたのだが。

『…お腹の子はきっと男の子、よ』
なんとなくそんな気がするの、そういった彼女が手にした水色のベビー服。

指折り数えて、
私たちの『家族』がやってくるのを、
寄り添いながら待ち焦がれた。


―運命の夜。

今までにない痛みが襲う。

でも、それでも。

―彼女に笑顔が浮かんでいたのは、…なぜだろう。


母と子の共同作業は深夜にまで及び…

チラチラ瞬いていた星屑たちが、自分のベッドへ帰っていく頃。

―力強い、生命の声が響いた。


この世に、
私たちの愛が生まれた瞬間だった―


『男の子ですよ、』
白い産着を着せられた生まれたての生命を手渡された。

小さく弱々しく、いくらもない重さのはずなのに、

腕の中で、
しっかりと息づいている―

小さな手が、差し出した自分の指を強く握った…、

その、

たどたどしい愛が、

たまらなくいとおしく思い…

この手はどんな未来をつかむのだろう…、
胸が熱くなった。



『おうちのことは、私がやるよ、』
愛する人がつけた、春に咲く花の名のような笑顔の少女と。
『…父さん、学会の準備で忙しいだろ?』
あの日、生命の力強さを教えてくれた青年に。

支え支えられていきていく、それが『家族』だと教えてくれたのは、他でもない子どもたちだった。

『ありがとう。』

写真立てにおさまる可憐な笑顔が、家族を暖かく見つめる。

二人が生まれた日を、一生忘れない。

君たちがいてくれて、
本当に幸せだ。


そう、今日もまた、陽が昇る―



☆コメント☆
[あとがき] 10-07 14:07 削除
やさしいお父さんの回を見て、藤隆さん視点もいいかなあと…

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