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□プロローグ
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『オ、オレに・・・キスの仕方を教えてくれっ!』
それは・・・
少年の、恥をしのんだ渾身の願いだった。
10月―
秋休みが明けたばかりの校舎は、あっという間に騒がしさを取り戻していた。
新人戦に向けて練習する、運動部たちのやる気が校庭に響く。
埃っぽさと爽やかな秋の香りが、学校全体を包み込んだ。
『それが・・・李君、キミの依頼ですか?』
キイ、
油のさしていない回転イスが、その主人の心の中を見透かすかのように笑い声を上げた。
開け放した窓では、紅葉しはじめた風とシンプルなカーテンが遊んでいる。
風通しのよい生徒会室の前にある張り紙―
それにはこう書かれていた。
『あなたのネガイ、叶えます―』