拍手お礼ストーリー
□スイカの食べ方
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お日さまキラキラ、いい天気♪
花壇のコスモスさんも風に揺れて笑っている。
・・・お母さん、
お父さんの作ったお庭は、今日もお花でいっぱいです―
『二人ともご苦労様、』
『・・・お父さん!』
リビングから続いてる大きな窓から、エプロンをつけたお父さんが顔を出した。
今日のお庭が一段とキラキラしているのは、わたしと小狼くんがお水をまいたから。
ホースから飛び出した雨のアーチをくぐって、小さな虹が七色に光っている。
一段と色濃くなった緑色の木々は、そんな透明シャワーの恩恵にあずかろうと、精一杯葉を広げていたの。
・・・雨と樹って、仲良しなんだね。
今も、昔も。
きゅ、
水道の蛇口を締めたら、小さな庭に涼しい風が吹く。
リーン、
風に踊った風鈴が、夏の歌を奏でる。
『・・・涼しくなったね、』
『ああ、』
首にかけていたタオルで顔をぬぐった小狼くん。
陽射しにほてった頬と、
首筋を伝う光る汗がまぶしくって。
ぽんっ、わたしの頬も熱くなる。
『どうした?顔赤いぞ?』
『ううん、なんでもないっ、』
向日葵さんと同じ色のワンピースを揺らして、わたしは慌ててごまかした。
はにゃ〜んっ
小狼くんに見とれていたって言ったら、きっといつものおこりんぼ顔になっちゃうから・・・、
・・・内緒にしておこっ。
『せっかくですから、お庭でおやつでもいかがですか。』
再び顔を覗かせたお父さんが、庭にいるわたしたちに声をかける。
『わ〜いっ、』
ちょうど喉も渇いていたんだよね、今日のおやつ、何かなあ〜っ
お や つ ♪
わたしはウキウキしながら、小狼くんと大きな窓にちょこんと座った。
『・・・ほえ?』
―ぬっ、
突き出された大きなお皿にこんもり乗っていたのは、三角形にきられた夏の定番おやつ。
赤と緑のコントラストが何とも言えず、夏だ〜!!を感じてしまうんだ。
・・・けど、
『お兄ちゃんっ!?』
スイカは大好きだけど・・・
スイカのお皿を持ったお兄ちゃんの乱入に、わたしはあからさまに嫌な声を出してみた。
キラリンっ、
案の定、お兄ちゃんの目が光る。
と同時に、隣りに座っていた小狼くんが、ぐっと身構えた気配がした。
・・・例えて言うなら、
犬と猿。
水と油。
天敵同士―。
相変わらず一触即発なお兄ちゃんと小狼くん。
もう、なんでだろ・・・?
特に香港から帰ってきて、小狼くんとお付き合いを始めてからは、激しくなったような気がするし。
はううううう、わたしは眉を下げて頭をかいた。
『食うか?』
『・・・食べるぅ、』
どかん、
スイカのお皿と一緒に、お兄ちゃんも座る。
『そうだ、桃矢くんも一緒にここで・・・』
お父さんが最後まで言わなくても、そうするつもりだったらしい。
お兄ちゃんは、まるで割り込むように私と小狼くんの間に座ると、もくもくとスイカを食べ始めた―