オハナシ

□New Year 2010
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新年快樂


冷えた郵便受けの中に咲いたその花に触れた小狼は、まるでおもちゃ箱の中に落ちた宝石を見つけたように心が躍った。
小さな箱に手を差し入れ自分の方に引き寄せると、すぐに差出人を確かめる。

宛名は、
『李 小狼 様』

・・・そして、
少しざらざらした肌さわりの良い紙の下には、特徴のあるまるっこい字で、

『木之本 桜』

その名を目にしただけで、どきん、胸の奥が音をたてた。

手にしていた冷たいスーツケースを落としそうになりながら、小狼はこぼれそうな笑みに唇をかみ締める。


―どうしてもこの国で新しい年を迎えたかった。
さくらがいる、この土地で。


―しんしんと静かな音がしそうな夜空。

誰もが、ほかほかした団欒の中で過ごしているはずの、今年最後の日。

日本と比べれば、ずっとあたたかい香港から戻ったばかりの小狼には、この寒さは身にしみるのだが。

受け取った小さなぬくもりが、小狼の心を優しくあたためてくれた。

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