オハナシ

□Summer Vacation!
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☆ふたつの卵焼き☆

『やだやだやだ〜っ!』

『…オマエ、本当に譲らないなっ!』

への字口をした小狼が腕を組み、ぷく〜と頬をふくらませたさくらを軽く睨む。

―昼下がりの公園で。

集まったのは、いつものメンバー。
山崎、千春、奈緒子に利佳、知世とそして小狼、さくら。

夏休み最後の日曜日だから、と、全員で、得意のお料理を持ちより、ピクニックに出かけたのだった。

木陰のきらめきが気持ちいい、公園のテーブルには、それぞれが作った料理が所狭しと並ぶ。

おにぎり、サンドイッチ、
唐揚げ、ポテトサラダ、ウィンナー、煮物…

色とりどりの、お弁当の中身に、さくらは感嘆の声をあげたのは、ついさっきのことだった。

―が。

『…卵焼きは、ぜえったい甘いのがいいもんっ!』

『甘いのはダメだっ!それじゃおかずにならないだろうっ!』


目の前には、2つの卵焼き―

1つはさくらが持参したもので。
…砂糖がたっぷり入った、木之本家特製、優しいお味の卵焼き。

もう1つは、小狼が作ったもの。

ザーサイ、ネギ等を細かく刻み、中華だしをいれた本格中華風卵焼きだった。


『…どっちも、美味しいのにねえ、』

奈緒子が2つの卵焼きを交互に頬張り、友人たちの喧嘩を見つめる。


『…本当に。どちらも甲乙つけ難いわ』

・・・あまりの美味しさに肩をすくめたのは利佳。

美しい友人たちは、目の前で繰り広げられている言い争いをつまみにしながら、ランチタイムを楽しんでいた。
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