大人向け

□ねこ、ネコ、猫。
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ふわふわ、ふわふわ、ふわり。

『・・・ん、』
腕の中には、もう瞳をあけていられないよ、と、甘ったるいキスに酔いしれているさくら。
その表情に、小狼は胸が締めつけられた。


―木之本家の、天窓から差し込む初秋のひだまりが、二人を包み込む。

・・・空は遠く澄み渡り、さっきまでは汗ばむくらいの陽気だったのに、
お日様が帰り支度を始めると、とたんに涼やかな風が頬を撫でる。

心の奥は火照っているというのに、頭の向こうには、つん、と冷たい空気が広がっていて。
柔らかな唇にとろけそうになりながらも、この可憐な声の少女をどう料理しようかと、冷静に考えている自分がいた。

小狼は桜色に潤ったその柔らかな唇に吸い寄せられ、ゆっくりと味わう。

深く、より深く―

舌でなぞるように、さくらの口の中を探ると、繋がった唇の隙間からさくらの小さな声が漏れる。

―さくらの熱い吐息と、上昇する肌のぬくもり。

ぬいぐるみがいっぱいあるかわいらしい部屋には、言葉ではない、唇が愛し合う音が広がった。

小狼は大きな腕で、その華奢で今にも壊れそうな肩を抱き寄せる。

―こんなにも小さな身体をオレはいつまで触れることができるのだろう、
小狼は、味わいつくしてもまだ飽きることのないさくらに、つい不安ではちきれそうな気持ちをぶつけた。

さくらの頭を引き寄せて、繋がったところからひとつになりたいと、激しく舌を絡める。

『あ、・・・んんっ』

さくらが、精一杯オレの気持ちに応えようと、その桜色した舌をおずおずと、左右に動かして、遠慮がちに絡めてきた。


夢物語なんて信じない、でも、

できることなら永遠に―

彼女と肌を触れ合っていたい・・・


『しゃ、小狼くんっ、』

『・・・え?』

さくらが小狼の愛撫からそっと逃れると、目を合わせようとしないでうつむいた。

『も、もうすぐ・・・おにいちゃんが帰ってくるから、』

まだ味わいつくしきれない小狼が物足りなそうに、さくらの髪を撫でる。

―それは、さくらも同じで。

ぎゅう・・・小狼の制服を握り締め、小さなシワを作った。



―お預けか、小狼は髪をかきあげると、さくらから離れ、すました顔で真っ白いノートに向かった。

今日は、さくらの家で課題をやる予定だったのだ。

冷めた紅茶が、唇を重ねた瞬間を物語る。

さくらも制服のブラウスをつまみ、襟を整えると、今日渡された課題を読み上げた。

『・・・ねえ、小狼くんはどれになりたい?』
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