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□前へ、ススメ。
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天気予報は今日まで雨だったのに、今朝はうって変わって晴れた空が広がった。
朝早く、本日開催を知らせる花火が上がった時、きっと小さな瞳をドキドキさせていた子どもたちは、弾ける歓声をあげただろう
友枝小学校運動会―
広い校庭にはいつもよりまして楽しげな声が響いている。
その校門の前に、いつものメンバーは集まっていた。
山崎、千春、奈緒子、利佳、知世、そしてさくらと小狼。
いつから始まったのかはわからない。
しかし、友枝小の卒業生は、5月に開催される友枝小の運動会に応援に行く、それがいつの間にか伝統として受け継がれるようになった。
もちろん、全員というわけではないが。
中には、弟妹の応援に行く子もいるし、陸上部の子などは、足の早そうな後輩たちをチェックして来年中学校に入学したら勧誘しようと企んでいる。
もちろん昨年、小学6年生だったさくらも、たくさんの運動部の先輩から声をかけられた。
それがきっかけではないが…
その時、さくらは紺色の制服に身を包んだ中学生の姿がとても気になった。
低学年の頃は、誰かのお姉さんなのかな?ぐらいにしか思ってはいなかったのだが…
…私も、中学生になったら、
あんな風に大人っぽくなれるの、かなあ…
髪を結わえたピンクの髪飾りに触れる。
さらさらなびく髪を耳にかける仕草に、さくらは、ほう…としながら、
たった1歳しか違わない先輩たちを羨望の眼差しでみつめていたのだ。